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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2023年5月の記事一覧

「庭」(詩)

あなたの声が 色を塗った あなたの夢を  わたしは時折 開いて眺める あなたは あたたかな…

とし総子
1年前
9

「ぶらんこ」(詩)

揺れる 現実とか 誠実とか 不自由とか 理性とか 社会とか わたしとか 近づいた方と 手を…

とし総子
1年前
9

「書くからだ」(詩)

すこし動けば 床にへばりつく この身体で 書いていく   荒れ野を行く夜 暴風の砂浜 黒い黒…

とし総子
1年前
12

「安堵」(詩)

もう 書けないのじゃないかと 思って 溢れたこともある 必死でたどった糸の先で 単純な一文…

とし総子
1年前
10

「心音」(詩)

私の胸の音は 真実を告げる 正しい道行き それをはかる 私の胸の震えは 私の理解より深く 私…

とし総子
1年前
11

「こごる」(詩)

言い訳をしよう 観たい映画があったとか 読みたい本が手に入ったとか 子供が宿題を持ってきた…

とし総子
1年前
11

「花」(詩)

ひとは 花だろうか 朽ちるそのときまで 愛を知ろうと生きるとしたら 哀れに思って 花弁たちも ゆらゆらゆら うつろに揺れる 土に打つのを遅くして 溶けた瞼で 合わせて 剥がす 空を見つけたその目の奥で 愛を骨に通して立った この棘を撫でる

「みどり」(詩)

食べきれるだけのキャベツを切った 私が きゅうりを齧ると 河童に見えるらしい と、子に知らさ…

とし総子
1年前
6

「はれつしそうな朝」(詩)

破裂しそうな朝に たいせつなものは置いてきた 鍵をかけて もう どこにも行けない そう思い…

とし総子
1年前
9

「はへん」(詩)

私が泣くか 私が笑うか どっちがいい? どっちでもいいよ、って 笑ってる? どっちもいいよ、…

とし総子
1年前
8

「魔女も猫も」(詩)

むかし 魔女と呼ばれた 黒の長い髪 つよい目が そう呼ばせた 私は頷いて 私はあのひとの魔女…

とし総子
1年前
11

「正しい使い方」(詩)

私は 私を 正しくあつかわなきゃいけない 名もない頃からの付き合いだけど 笑い流すのじゃい…

とし総子
1年前
6

「なる」(詩)

澄んだ音が鳴った 右の耳の うねりくねる ひだのそばで 澄んだ 鈴の音というには まろみの…

とし総子
1年前
16

「つばき」(詩)

いやなことからは 逃げのびてやる 手足をのばしたら あたまは休ませてやって 小さな声は うすくうつくしく 響かせるためにあたためて 胸を 羽根を 毛繕いをしたら おおきく それをひろげて 翼じゃなくてもいいでしょ 濃い色を浮かべて 遠くを貫いていければ いとおしいこころへ  光を置いて 逃げ込んでやる所存なんだ