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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2023年3月の記事一覧

「春に」(詩)

くっついて 小さくなった耳に 春は染み込む 剥がすのが いたくないように 土は湿り気を帯び…

とし総子
1年前
8

「わたしのもの」(詩)

私は私の人生を楽しむ責任がある あなたを愛するときに あなたを見送ったときに 負った責任と…

とし総子
1年前
6

「おしまいなさい」(詩)

私の頭の重たさを覚えていて 握りしめた指が 何を示していたのかを 染みついた手で  パンをち…

とし総子
1年前
10

「照らすこと」(詩)

元気でいることは難しい 身体が弱いわけではないというのに 私ときたら 小さな積み重ねでまい…

とし総子
1年前
6

「貝の声質」(詩)

ずっと死にたかった、とは言えるのに ずっと苦しかった、と言えないのは どういう覚悟のためだ…

とし総子
1年前
6

「くらい我が家」(詩)

もう 愛しているとは言えない あぁセシィー 私の葬いにやってきて じぶんの腕を腐して 何が甦…

とし総子
1年前
9

「忘れ去るよすが」(詩)

忘れ去れるのなら どうぞ忘れて下さい どうぞ どうぞ 私の線をぼやかして いつの間にか崩れてしまうように そのために時の流れを 私は波立たせてみせましょう 新しい色を混ぜて たくさんの空を重ねて 幾度も通り過ぎる雨の匂いだけに目を向けていてください どうぞ どうぞ忘れて下さい 私のまぶたに浮かぶあなた 私の爪は鋭く刻むのが 存分に勝手と分かっていますので どうぞお先に どうぞそのままのひとりでいてください 忘れて叶う幸福があることの 希望を私は知っています ど

「あなたの国」(詩)

あなたの国を通る にぎやかな店の面を眺めて歩きまわり 誰もいないの野の原に沈めば 仰向けに …

とし総子
1年前
12

「いきをおくる」(詩)

わたしはわたしをたのしむ わたしはわたしのたのしいを選ぶ もうその選択を恐れない わたしは…

とし総子
1年前
18

「僅かに濁り、ひかる」(詩)

笑顔を見送って はや幾筋の 満たされた線を越えたの いつか振りかえるかしらと 見つめていた…

とし総子
1年前
7

「あなたの顔」(詩)

果てでは その顔を覗きこみたい そんな希望が胸をうつ 叶っても、叶わなくとも うつたびに胸…

とし総子
1年前
8

「銃の向かい」(詩)

明日を折り合って敷き詰める その過程を望んだ手は遠い まだ、遠い だから 少しの背伸びと 爪…

とし総子
1年前
12

「井戸の底を見つめる星ほど離れて」(詩)

泣き喚く準備をして 不幸を味わう そんな真っ向を嫌うやり方を通してでも 私は生きて 会いたい…

とし総子
1年前
6

「うつくしいひかり」(詩)

恋をする貴方はうつくしい 恋 そのものよりも もしかしたら、その瞳に映っている世界よりも 貴方は うつくしい光