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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2022年10月の記事一覧

「てんし」(詩)

わたしが笑うのは 天使の踊りが独特だからじゃない ミツバチが三つの甘さに酔っぱらったって …

とし総子
1年前
8

「首飾りをひとつ」(詩)

ゆったりとした 首飾りを編んで ポケットは空っぽ 足先に転がる いくつもの先の種を蹴って …

とし総子
1年前
5

「肩を 覚えたよ」(詩)

泣かないでほしいと願いながら うっかり あなたの涙は好きだけど なんて 思ったりしている …

とし総子
1年前
14

「実った実は」(詩)

手を取り戻して叫ぶ嵐 ひとの子供が笑う歯の奥 見えないところで赤い点を灯して あなたは言う…

とし総子
1年前
14

「樹は滴の歌をきく」(詩)

わたしはいつも 泣きそうよ 望みの尽きないことについて 死を辿れない まわり道 せめて 迷…

とし総子
1年前
9

「好き」(詩)

あなたが好き もう手の平を合わせることも 隣り合って笑い合うことも どうしても添えない意見…

とし総子
1年前
15

「流れ星と振り子」(詩)

夢で視た あの流れ星を つかまえたいだなんて 私はちっとも思わなかった やさしい尾を引く ほの青い星 尾の先へいくほど白が光って 線をのこす あたりに 方々へ 小さなもの 中くらいのもの いくつかの 十にとどくくらいの星たちが 涼やかな音を降らせて流れていった それはあまりにうつくしく それはもうすでに願いの形と成っていたから 夢と思わず 帰った私は ふと思い返して気付いたくらい ああ あの流れ星の夜は 夢のほとりで見上げたものかと 肌に冷たくなった夜の空気 星の明る

「眩しいほう」(詩)

知りたかった その瞳が 澄み渡って どこへ通じるのか あまりにうつくしい日々は 枯れること…

とし総子
1年前
11

「あなたの手」(詩)

あなたの手 別れに沈む 胸の中に引き込んで 忘れてしまえば 少しはこの温度をうつせるものか …

とし総子
1年前
10

「月の明るさ」(詩)

泣かないでと頬を包みながら しっかりと泣いているのは 私のほう あなたが大切にしていた月…

とし総子
1年前
12

「透明の糸」(詩)

物語りを編む指は 透明の糸に守られている そっと触れて この世にこぼれる音ひとつ 耳はひろっ…

とし総子
1年前
14

「あたらしい ひとつ」(詩)

ああ 世界は またひとつ うつくしく あたらしく 成った 私の目の前 黄金をまとう空気に 反…

とし総子
1年前
10

「降らせるもの」(詩)

あの日から ずっと わたしは (わたしたちは) 横たわるあなたに (あなたたちに) やわらか…

とし総子
1年前
10

「同じ花」(詩)

理解をしたいと あなたは言った あともどりなどしない 知らないと言いながら 泣くことも 忘れられずに ここに立っていた あなたの手の甲を 蝶は通り過ぎていった わたしにあったものは それほど多くはなかったのに あなたは全てを 数えると言い そして  あなたの全てと 等価としたがった ごめんなさい もう二度と 立てなかったらよかったの だけど 私の目は開き そして 蝶は先を舞った 私の足は土を蹴る こまかな石が飛ぶでしょう あなたはやさしいままでいて いつかまた 同じ花の前で立