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⑥ハンターカレッジお受験、辞める

こちらは2010年に息子の幼稚園お受験で奔走していた時のメモが出てきたのでシェアしています。
今回はマンハッタンに住んでいたら絶対に入れたい! と多くのお母さんたちが思う『ハンターカレッジ幼稚園』のお話。

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まず始めに、ハンターカレッジお受験とはなんぞや? ということ。
マンハッタンだけに住んでいる子供だけが入れると言われている公立学校でトップに君臨している学校の名前です。
もちろん、中学・高校とレベルが高くて有名ですが、幼稚園がダントツに人気があり、ここに入れたら「天才!」と尊敬の念を抱かれるくらい。
GTプログラムをやるに当たって、まずここの子供たちにやらせてみてから、他の学校へ落とし込んでいくという、言い方悪いですが実験のようなこともさせられているとの事でした。事実はわかりません。
通わせていたお母さんとお話したときは、まだ幼稚園ということもあって、本はたくさん読むと言っていたけれど、その後は交流がなくなり詳細は不明です。

11/29/2010

ハンターカレッジ幼稚園に入るには、まずは申し込みをして(65ドル。公立なのに申請料を取る)、それから学校指定のサイコロジストに会って、それからテストを受ける。

そのテストは学校側が指定した日にちまで受けないと受験拒否となる。

あたしはその「受験拒否」を選んだ。

息子のテスト最終締め切りは11月30日。

どのサイコロジストがいいんだろうか、と、悩みに悩んだ。
というのも全くその人たちに対しての情報がないから。学校側から渡されたリストを見ても、何がなんだかさっぱりわからない。

ある黒人のお母さんは上のお兄ちゃんのが失敗したのが「黒人のサイコロジストにしなかったからだ」とも言っていた。もしくはジャネット・ジャクソンなどの有名なサイコロジストにしたからかも、とか言っていて。

落ちた理由をそこへもっていくのもどうなのかなーと思いつつ、そうなんだーと話を合わせてみたり。

でも人種によっての気質というのもあるだろうし、あたし的には息子はアジア人でもあるから、そういう繊細な部分もくみ取って欲しい! という気持ちもなきにしもあらず。

そんなとき、息子さんを9月にテストを受けさせたお母さんと偶然公園で再会。サイコロジストを紹介してもらって、29日の午後4時にセットアップ。

テストを受ける24時間前までにテスト費用325ドルと書類を送る。

それにしても、どうしてテスト費用なんぞいるのだろう。

ハンターカレッジは公立じゃないか。
公立の学校は無料が基本じゃないか。

申し込み料金65ドル
テスト費用325ドル
合計390ドル

決して安くない。

もちろん、ファイナンシャルエイドがあるので、料金は安くなるけれど、そのために資料をいろいろと出さないといけないんだけれど、何がなんだかよくわからなくて、もうその時点でギブアップ。諦めてしまいます。誰かにやって欲しい!

でもハンターカレッジは公立でありながらも独自のプログラムで運営されてるからお金がかかるという話なんだけれど……

確かにカリキュラムは素晴らしいという話はいろんな人から聞いた。1次試験に受かっただけで「あなたの子供は秀才よ!」とカテゴライズされるとか。

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では、ここにきて、どうしてあたしが息子のお受験を辞めたのか。

こういうことをやっていると、ポジティブな話とネガティブな話が耳に入ってくる。そして面白いことに、ネガティブな話のほうが沢山入ってくるんだよね。


子供を入れたかったけれど、入れなかった(落ちた)。
最初から諦めている(本当は子供を入れたいけれど、そこまで自分の子供は頭がよくないと親が思っている)。


と思っている親達の、ねたみ、嫉妬が大きいのかもしれない。

そんな中、あたしがそれはないんじゃないの? と思ったことがあった。それがお受験を辞める大きな理由となった。


教室に窓がないそうです。


いいですか?


教室に、窓が、ないんですよ。


ありえん!
刑務所じゃないんだから!(場所によって窓はあるか、刑務所も)。

5歳の多感な時期に、窓のない部屋で授業。
いくらプログラムが良くても、これは人を形成するにあたってどうよ? いやいやいや、学校に行っている間だけだから、たいした問題じゃないでしょう、ですか?

でも、朝は晴れていたのに、学校を出たら雨ってちょっと哀しくないですか?

雨がきそうだなーとか、あ、今、雪が降った瞬間見ちゃった、とか、そういうのって、ものすごく大切だと思うんだけど。

通っている子供たちが「子供らしくない」という話も聞きましたね、そう言えば。

でもまあ、これはアッパーイーストサイドやアッパーウェストサイドの子供たちをみれば一目瞭然なので、とくに驚きはしませんが、自分の息子がそうなったらイヤだなあとも思ったり。

もちろんハンターカレッジ幼稚園に行ったら皆がそうなるのか、という話ではないけれど、子供は子供らしくさせておかないと、どこかで破綻するんじゃなかろうかと考えてしまう。

ハッキリ言ってこういうのって親の思い込みな部分も多いだろうし、もしかしたら息子にとっては良い学校なのかもしれない。

そういった可能性を搾取したのではないのか。

はいれなくとも、これからやってくる Gifted and Talented のテストに向けての場慣らしではないけれど、経験になってよかったのではないか(まったく知らない人とふたりっきりになって、親のいない他の部屋に行ってテストを受けるらしいから)。

などなどぐるぐる考えたけれど、ずっともやもやしていたので、辞めてスッキリ。

もう、あとは息子の生命力次第。
何もこれで人生が終わったわけではないし。

何よりも彼のこれからが、このスタート地点で多くが決まってしまうのではないか、と考えを持ってしまった自分が怖いと思う。

本来であれば、たくさんの選択があるべきなので。

とはいっても、ニューヨークの学校選びは本当に大変で大切なわけでして……。

どうなっていくのかしら。

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子どもに教えられたこと

2006年生まれのアメリカ人とのハーフの男の子のいるシングルマザーです。日々限界突破でNY生活中。息子の反抗期が終わって新しいことを息子と考えています。