月夜の花占い

月夜の花占い

　澄み切った夜空に満月が輝き、柔らかな光が庭の花々を照らしていた。庭に咲く白い花は、月明かりを浴びて幻想的な雰囲気を醸し出している。ユウはその庭に立ち、花占いを始めることにした。

　ユウは昔から、花占いが好きだった。特に月夜の晩に行う花占いは、特別な意味を持つように感じていた。月の光が花びらに反射し、その影が地面に揺れる様子を見ながら、彼は静かに花を一枚一枚摘んでいった。

　「好き、嫌い、好き、嫌い…」


　摘んだ花びらを一枚一枚落としながら、ユウは心の中で問いかけた。彼の心には、いつも思い浮かべる一人の少女がいた。ミサキという名前の彼女は、ユウの幼馴染であり、ずっと彼の心の中で特別な存在だった。

　「好き、嫌い…」

　花びらを摘むたびに、ユウの心は少しずつ高鳴った。最後の一枚の花びらが指先に残るとき、彼の心臓はドキドキと音を立てた。

　「好き…」

　ユウは最後の花びらを見つめ、心の中でミサキの笑顔を思い浮かべた。彼女の優しい声や、明るい笑顔、そして何よりも彼を包み込むような温かさが、ユウの心を癒してくれた。

　月明かりの下、ユウはその花びらをそっと地面に落とし、空を見上げた。満月が彼の顔を照らし、心の中で静かな決意が芽生えた。

　「ミサキに伝えよう…」

　次の日、ユウは早起きし、ミサキの家に向かった。道端に咲く花を一輪手に取り、彼女の家の前で深呼吸をした。ドアをノックすると、ミサキが出てきた。

　「おはよう、ユウ。どうしたの？」

　ミサキの明るい笑顔が、ユウの不安を一瞬で消し去った。彼は花を差し出しながら、深い呼吸をして言葉を紡いだ。

　「ミサキ、君のことをずっと思っていたんだ。月夜の花占いで分かった。僕は君が好きだ。君のことを大切に思っている。」

　ミサキは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかい笑顔を浮かべた。彼女は花を受け取り、優しく言った。

　「ユウ、私も君のことが好きだよ。君と一緒にいると、いつも安心できる。」

　その瞬間、ユウの心は喜びで満たされた。彼はミサキの手を取り、二人で庭の花々を眺めながら歩き出した。月夜の花占いは、彼らの心を繋ぐ魔法のような瞬間をもたらしたのだ。

　その後も、ユウとミサキは月夜の晩に花占いを続けた。花びらを摘むたびに、二人の絆はますます深まっていった。満月の光が二人を優しく照らし、彼らの愛を祝福しているかのように感じられた。

　「好き、嫌い、好き、嫌い…」

　花びらが一枚一枚地面に落ちる音が、二人の心に響き渡る。その音は、彼らの未来を照らし出す灯火のように感じられた。