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全国ごてんまりコンクールが知られていなさすぎる!

こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり」です。

今月の26日と27日に、第55回全国ごてんまりコンクールが開催されます。

会場は例年通り、由利本荘市の鶴舞会館です。
今年で第55回目をむかえる、それなりに歴史のあるコンクールなのですが、残念ながら地元の由利本荘市民にもそれほど認知されていません。
わたしはごてんまり作家で、由利本荘市を拠点にごてんまりを広める活動をしています。
それゆえ10月ともなれば、「今月の26日と27日に全国ごてんまりコンクールがあるので、ぜひ来てくださいね」と吹聴して周ります。

しかし由利本荘市に長年住んでいるのに、ごてんまりコンクールのことを全然知らないという人が結構います。
「何ですかそれ」とわたしに聞いてくる人が今月だけで3人もいました。


「なんで知らないんですか!! 全国ごてんまりコンクールは毎年全国各地から、ときには海外からもまりを集めて、例年300を越す手まりが一度に見られるんですよ。手まりの伝統のある地域は加賀とか他にもありますけれど、こんな全国規模の手まりのコンクールを50年以上もやっている地域は、世界のどこを探しても他にありません。全国ごてんまりコンクールは、世界的にみても、なかなかすごいイベントなんです!」
と、わたしなんかはつい声を荒げてしまいます。
しかしそう説明すると、たいてい皆さん「へえ、知らなかった。そんなすごいイベントなら、一度行ってみようかな」と言ってくれます。

わたしは「ごてんまりの"分かる"と"できる"を届けたい」をモットーに活動しているので、この全国ごてんまりコンクールも多くの人に興味を持っていただきたいものだと思っています。
ただ地元民にさえあまり認知されていないという事実は、残念に思うと同時に、仕方がないかもしれないと思うところもあります。

その理由は、由利本荘市がごてんまりに関してまともな広報ができていないからです。
2022年の全国ごてんまりコンクールの会場では、3階と2階でごてんまりの創始に関して400年ほど違う説明が行われていました。

同年秋田市で行われたKOUGEI EXPO in AKITA では、さらに400年違う説が発表されていて、度肝を抜かれました。

https://note.com/akita_ringo_chan/n/n27f2ff08d983?sub_rt=share_b


2022年はごてんまりの創始について、「江戸時代からある」「800年前からある」「昭和30年代」と、異なる説を同時発信している状態でした。
この異説発信状態は今でも続いています。
由利本荘市観光協会のHPには「江戸期の手まりは、御殿女中から庶民に伝わったとも言われていますが、本荘には記録としては残っておらず、現在は歴史ロマンを感じさせる説として広まっています。」と書いてありますが、市役所本庁にある正面玄関ガラスケースのディスプレイには「江戸後期から続く悠久の技」というコピーが使われています。
情報発信がもうメチャクチャです。

これほどごてんまりに関する情報が混迷していて、しかも訂正されないのは、広報担当がごてんまりのことをよく知らないからでしょう。
よく知らないのに広報の仕事をしようとすれば、「わたしはよく知らないけれど、ごてんまりって昔からある工芸品があって」「全国ごてんまりコンクールっていう昔からあるイベントがあるんですよ。ぜひ来てください」といった、全く情報と情熱に欠けた発信しかできません。
昔の中身をよく知らないから、江戸時代だろうと鎌倉時代だろうと構わないのでしょう。
そんなの聞いたって誰も行きたい気持ちになりませんよ。
だから地元民にさえ知られていないんです。
わたしは「全国ごてんまりコンクール全然知られていない問題」は、市の広報がなんとかなれば、かなり解決するはずだと思っています。

こういう市のやり方を批判するわたしの意見は、「やり方が好きではない」とか「嫌味が過ぎる」と言われることもあります。
しかし他に誰も批判する人がいないから、ごてんまりをめぐる市の情報発信は未だに混迷を極めているのではないでしょうか。
これでは情報を受け取ったほうは、「ごてんまりって、なんだかよく分からないね」という感想を持ってしまって当然です。
全国ごてんまりコンクールが知られていない根本の原因は、よく分からないものの全国大会に誰が行くか? ということです。

きちんとした知識と、情熱のある言葉で伝えれば、それほど興味のない人でも、多少気持ちは動きます。
実際わたしがした上記のような説明をすると、皆さん「行ってみようかな」と言ってくれますよ。
足りないのは人手やお金ではなく、知識と情熱です。
もともと手まりのマニアにはよく知られたイベントですし、全国ごてんまりコンクールは広報さえなんとかなれば、もっと全国から人が集まる魅力的なイベントになるでしょう。
せっかく素晴らしい文化と世界的に珍しい行事があるのに、うまく伝えられないのは非常にもったいないことだと思います。

今年は出品数が164点と少なめですが、こんなにたくさんのまりが一度に見られる場面はやはり貴重です。
ぜひ一度ご来場ください。
わたしも自分の作品を出品しています。
また、コンクール開催日と同日に近隣でこのようなイベントも行われています。
ぜひご検討ください!


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