見出し画像

わたしは「聖地巡礼」関連商品の製作・販売はやりません

こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。

最初に申し上げたいのは、わたしは二次創作に対して擁護派でも否定派でもないということです。
また現在由利本荘市が推し進めている「聖地巡礼」関連のいかなる事業と、それによって製作・販売された商品に対して否定、批判する意図はありません。
今回こちらの内容をnoteに投稿したのは、あくまで自分のスタンスを明確にし、それをお客様に知っていただくためです。


結論から言うと、わたしは映画スラムダンク「聖地巡礼」関連商品の製作・販売は行いません。
理由は、著作権を含む知的財産権の考え方があまりに複雑で、自分のような素人には扱いきれない問題だと判断したからです。

2022年12月に映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開されてから、由利本荘市は「聖地巡礼」に訪れるファンで活気づいています。
映画に出てくる神社が市内にある鳥海森子大物忌神社に大変似ていると噂が広がり、全国のスラムダンクファンに注目されているのです。
市ではこうした新たな賑わいに目をつけ、アニメや漫画、映画ゆかりの地を旅する「聖地巡礼」に関連する商品の開発支援事業費を120万円追加すると発表しました。

「由利本荘市の補正予算 開発支援費 120万円追加」
「映画スラムダンク『聖地巡礼』関連商品」
由利本荘市は市議会6月定例会で可決された2023年度一般会計補正予算で、アニメや漫画、映画ゆかりの地を旅する「聖地巡礼」に関連する商品の開発支援事業費120万円を追加した。同市の「森子大物忌神社」が人気映画に登場する神社に似ているとファンの間で話題になっていることを受け、既存事業を拡大する。
(中略)
商品開発の支援事業費は20年度から実施しており、23年度は当初予算で240万円を計上。追加分により、聖地巡礼に関する商品開発について経費の補助率を通常3分の1または3分の2から5分の4まで引き上げる。
上限は30万円。市民や市内に事業所のある企業、団体などが対象で、既存商品の改良も補助対象となる。

2023年5月27日『秋田魁新報』

このような市のバックアップもあり、由利本荘市では映画に出てくるチームやバスケットボールをモチーフにしたごてんまりのグッズが作られるようになりました。
2023年6月現在、由利本荘市と能代市ではこのような商品が販売されているそうです。

映画ゆかりの地コラボ
◯…人気バスケットボール漫画が原作のアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」ゆかりの地として盛り上がる能代、由利本荘市のコラボグッズが人気を集めている。
能代市柳町の能代バスケミュージアムは、由利本荘市観光協会と共同で企画したごてんまりのストラップやアクセサリーを販売。映画に出てくるチームやバスケットボールをモチーフにデザインした=写真。
山王工業高校カラーの白いまりとボールを模したまりがペアになったピアス(3千円)や、ストラップ(2700、3千円)など4種類が並ぶ。由利高原鉄道(由利本荘市)の矢島駅や羽後本荘駅でも扱っており、仕様が異なるという。

2023年6月19日『秋田魁新報』

わたしはこれらのごてんまり商品に一切関わっていません。しかし市長や市観光協会のSNSで紹介されたり、地元の新聞で繰り返し報道されることにより、わたしのところにもお客様からお問い合わせをいただくようになりました。
改めて申し上げますが、わたしは映画スラムダンク「聖地巡礼」関連商品の製作・販売は行いません。

アニメや漫画、映画をモチーフにハンドメイド作品を作り、私的な目的を超えた利用(営利目的で販売するなどの行為)をすることは、法的にかなりグレーだということはよく知られています。
いろいろ調べてみたのですが、キャラの名前を出したり、思い切り似せて描いたりして肖像権を侵害しなければセーフだという意見、作品をモチーフにしていたとしても、パッと見で作品名と結びつかなければ大丈夫などという意見もありました。
わたしには何がセーフで何がアウトなのか、判別が難しい世界だと思いました。

たとえばフリマアプリ「メルカリ」では、商品名や商品説明に権利者の許可なくブランド名やキャラクター名を記載することを禁止しています。「鬼滅の刃風」や「ディズニー風」といった表記もNGです。
過去には、有名漫画とそれを映像化した作品が先行するミステリー小説のトリックを流用したことで社会問題になった事例もあります。
トリックは法的には著作権保護の対象にはならないので、本来なら許可をとらなくても問題にはならないはずでした。
※気になる方は「金田一少年の事件簿 パクり」で検索してください。

このように、著作権を含む知的財産権にまつわる問題は、何がアウトで何がセーフなのかそもそも境界が曖昧で、法的に問題ないとしても後々問題になる場合もあるという、非常に複雑でややこしいものです。
こういう問題と向き合いながら市の補助金目当てに商品を作るより、完全にオリジナルの商品に注力したほうが、よっぽどストレスなくいいものが作れます。
わたしは映画スラムダンク「聖地巡礼」関連商品には一切関わらないことにいたしました。
現在由利本荘市と能代市で販売されている、スラムダンクの映画に関連づけられたごてんまり商品は、すべて〈ゆりてまり〉の製作したものではありません。
今後もそういった事業に関わるつもりはありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?