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理念を決めておいて良かった

こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。
〈ゆりてまり〉の理念は「ごてんまりルネサンス」です。2020年の12月に決定しました。

このとき理念を決めておいて本当に良かったと思います。
今、いろいろな方から毎日のように仕事の依頼や打診があり、それに対応することがかなりの負担になっています。
しかし理念があることで、請け負うべき仕事をかなりふるいにかけることができます。
理念という基準がなければ、依頼がくるごとに「どうしよう。どうするべきかな?」といちいち迷わなくてはならなかったでしょう。

「ごてんまりルネサンス」の「ルネサンス」という言葉は、再生・復興を意味します。
由利本荘市がごてんまりの町としてもう一度復興して欲しいという願いと、ごてんまりを作っている人の人間性を再生・復興をしたいという願いを込めて作りました。
ルネサンスには古典時代の復興という意味もありますが、人間性の復興という意味もあります。
ごてんまりは地域の伝統工芸品として知名度は高いのですが、ともすると手作り製品であるということを忘れられ、他の農林水産物や加工品と同じように扱われます。

何が言いたいのかというと、ごてんまりは機械では作れないし、野菜や魚と違って「勝手に生育する」部分が一つもありません。
オール100パーセント人力で作らなければならないので、他の生産物と比べて、作る人の技術やメンタルがとくに重要なんです。
不作の言い訳を天候や環境の変化に求めることができません。
ダメなものができたら、全てダメなものを作った製作者の責任です。

さらにわたしたちは機械ではないので、「1週間後までにこの規格で30個作って」という依頼に応えることができません。
いくらごてんまり作りが好きでも、同じまりを30個も作り続けたら飽きちゃいます。
その「人間性」を理解してくださるところでないと、〈ゆりてまり〉は協力できません。

だから「ごてんまりって綺麗で可愛いし、海外とか東京とかの都会で売ったら高く売れるんじゃない?」という思惑だけで声をかけてくる方は、言下にお断りします。
大事なのは地域と人間性です。
しかし残念ながら、地域を大事に思って下さる方と、ごてんまりを作る人間を大事に思って下さる方は、必ずしも一致しません。
「自分は地域を大事に思っている。だからごてんまりを県外や海外に広めたい」と声をかけて下さる方は、作る側の人間性を考慮に入れていないことがほとんどです。
それは県や市町村などの、もっとも地域を大事にしている(はずの)団体でも同じです。

わたしの身体は一つしかないし、たった一人で活動しています。
自分を守るためにも、この理念を大事にしていきたいと思います。

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