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【短歌】流転に向かって飛ぶ

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きっと言葉はどこにでも転がっているはず
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2020年1月の記事一覧

短歌 041-045

あなたとの隙間へできた距離感に手持ち花火で白線を引く
「久しぶり」『お掛けになった番号はーー』「あのとき私、」『ーー確認の上』
夢跡の喰い潰された残骸が宙(そら)を象る星にも見えて
追うとまた避けられるのに「それでも」と絶えず求める自動人形
苦しくて吐いた言葉が泡になり海月のようにゆらゆら揺れた

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短歌 036-040

つま先で愛を伝えるバレリーナ辻褄合わせみたいなおしゃれ
顔のせい認められずに鏡拭く辻褄合わせみたいなおしゃれ
やがて来る哀しい夜に目を閉じて枯れる花火を過去から見てた
「危ない」と自分で引いた白線の内まで下がる/壁はないのに
からからと転がる缶に重なった私の影を掬っては捨てた

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短歌 031-035

砂浜の「好き」が波間にさらわれる海の向こうの君まで届け
ふるふると星降る夜にぶるぶると繋ぐ右手が星座に見えて
号令の「右向け右」で左向く間違うフリであなたの顔を
百年に一人の君とうそぶいて作業のような恋をした
朝のない国で生まれて過ごせたら知らずに済んだ別れの夜明け

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短歌 026‐030

思い出を照らす光が乱反射/別れのようなプリズムの午後
夢沿いのサナトリウムで星を見る/サナトリウムで。サナトリウムで、
水槽を嘘で満たせば苦しくて吐いた気泡が何処へも行けず
朝方のひとつ飛ばしの座席には見えぬ「嫌い」が佇んでいて
不規則に並ぶ雨音聴きながら布団で眠る7分手前

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短歌 021‐025

ドーナツの輪から覗いた彼のこと甘い匂いがなぜか苦くて
「得意なの」占うからと手を握るあなたにふれるための口実
今だけは大人だからと都合よく子どもと大人を行ったり来たり
明けましておめでとうなど呟いて過ぎた昨日に目隠しをした
窓越しに反射する君うつむいて汚れたレンズ透明度0

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短歌 016‐020

みおつくしあなたの元へ行かぬようアクアリウムで微睡む人魚
未送信メールばかりが溜まってく指先一つ押すだけなのに
起きてても眠っていても朝は来て不安だらけの夜を隠した
街灯の明かりに縋る夜の道 月の光はなぜか不安で
アナログの時計の針を巻き戻す「過去に行けたら」なんて笑って

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