子どもが変わる瞬間③友達を助けるんだ〜勉強苦手なC子の挑戦〜
小学校3年生になるC子は、勉強が苦手である。どのくらい苦手かと言うと、3年生になるのに、まだ8 +7を指を使ってなんとかやろうとしている。
そんな感じなので、算数は、おそらく私たちが、すべて外国語で教えられているように、むずかしさを感じているだろう。
そのためか、算数の時間は、決まって騒ぐ。それでもこの子としては頑張っている。だって、落ち込んだり、泣いたりしないのだから。
C子はいつも笑っている。明るく振る舞っている。でも、心の中は泣いているのかもしれない。誰だって、意味のわからないことを、毎日毎日やられたら、それは嫌になるだろう。
この子は、私が担任した子ではなく、私が教務主任になってから、クラスへのサポートで関わるようになった子だ。
ある日、C子が算数の時間、私の手をぎゅっと握り、じっと目を見てこう訴えてきた。「ねえ、私、算数できるようになりたい」
私はその1時間、ずっとついて、一緒にやってあげた。そうすると、C子も頑張って、その時間のことは、何とかできるようになった。
そしたらC子は、「私、できるようになったからさ、今日は教えられる?」私は、教えられるよと答えたが、そしたらC子はとっさに手を挙げて、「先生、わからない子、教えに行っていいですか?」と言った。
そして、担任の了解をもらうと、一目散にある子のところへ行った。最近C子が仲良くし始めた子だ。この子も、勉強が苦手な方である。
C子は、「教えてあげるね」と言って、さっき一緒に解いたやり方で、その子に教えていた。時々わからなくなり、何回か私のところに聞きに来た。
授業後、私はC子に、なんであの子のところに教えに行ったの?と聞いた。どうしても知っておきたいと思ったのだ。
C子「だって、友達ってさ、その子にさぁ、いいことしなくちゃでしょ。うれしいことしなくちゃでしょ。だからした」
C子は、騒ぐことも多く、友達について、そういうことを、学校や家庭で言われているのかもしれない。だから、彼女なりに、一生懸命考え、難しいことも教えてあげれば、仲良くなりたい子は喜ぶんじゃないか、自分とちゃんと友達になってくれるんじゃないかと思ったのかもしれない。
C子のように、目標を決めてだとうまくいかない子でも、誰かの助けになりたいという気持ちで取り組むことで、できるようになる子もいる。
お母さん業をやっている方ならわかるのではないか。自分が実は苦手なことでも、「うちの子のために」と果敢に挑戦し、できてしまうこともご経験あるだろう。
C子のように、学習のスタイルは、1つではない。3人いれば、3人とも違ったりする。だからこそ、その子に合ったスタイルで学習することで、その子の可能性を伸ばすことにつながるのだ。
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