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アメリカ製保健室【毎週ショートショートnote】

教師のメンタル疾患の深刻化に伴い、校内に教師専用の保健室が作られた。何とアメリカ製の保健室だという。
そこへ「保健室通勤」すると、心折れた同僚たちがたちまち快癒するのだ。

気になった俺は、不調を装ってその保健室に行ってみた。

出てきたのは白い割烹着姿の小太りのおばちゃんだ。間違ってもグラマラスな肢体を白衣で包んだ金髪のおねーさんではない。

「そこ座ってッ」

声と共に、山と盛られたつやつやの白飯が出てきた。なに、これ。

「早く食べるッ」

慌てて口に運ぶと、ほふほふと熱いごはんが口の中でもっちりと甘い。なに、この旨さ。

「次これッ」

こんがり香ばしい魚の塩焼き。のどぐろじゃん、これ。

「あの、ここ給食室…?」
「保健室ッ」

おばちゃん、激しい。

果てはどんと置かれた徳利。
ここ、学校…

「酒は百薬の長ッ」

これが〆とばかりに、張りのあるおばちゃんの鶴の一声。

「何でこれがアメリカ製保健室…?」
「米国製ッ!」
「だからアメリカ…」

おばちゃんが吠えた。

「元気になりたきゃメシを食え! 全部新潟産! 文句なく美味いッ」

「——米の国、か…」


(452字)


【あとがき】
諸事情あって、ただいま入院中でございます。
術後の経過も良好で、今日辺りからだいぶ元気になってきたので、リハビリを兼ねて投稿させていただきました。
(後注:その後、無事退院しております。ご心配をおかけして申し訳ありません)

ただでさえきっつい道場が、更にえげつなくハイグレードになり、もはやSSテロと言っても差し支えないような…(涙)

なんか全然どんでん返しになってへんわ、てのはその辺に置いといて、新潟は言うまでもなく米どころ。そして米の美味い土地は、これまた例外なく酒どころ。そして知らなかったけど、高級魚ののどぐろも名産なんだとか。
酒好きの秋しばは、新潟の幻の酒「〆張鶴」が大好きです。

*この記事は以下の企画に参加しております

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