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低学年向けのボールハンドリング

バスケットボールは、ボールを手で扱うスポーツなので、自由自在にボールを扱うために、ボール・ハンドリングという練習をします。ドリブル技術も含めてボール・ハンドリングと呼ぶのが一般的のようですが、この投稿ではドリブル技術は除外した範囲で、僕が考えていることを書いておきます。

脳神経のトレーニング

ボールというのは、なかなか思い通りに操作できないものです。ボールを投げるのも、ほんの微妙な操作でコントールが変わりますし、キャッチだって実際には少しずれてキャッチしても、そのズレに反応して素早く修正することでキャッチミスが減っていきます。基本的に、このような微妙なズレに反応するということは、脳や神経が大きく関わってきます。回数をこせば、脳神経が学習しますので次第にうまくなりますし、やっていなければ脳神経がズレを感知して、適切に補正することが難しいです。という意味で、できるだけ小さい頃から始めたほうが良いですし、毎日やっておいた方が良いです。脳神経が急発達する時期のゴールデンエイジまでに、身につけておきたいものです。

低学年にとってのボールハンドリング

ゴールデンエイジに向けて、運動神経を向上させるために、練習でも、ボールハンドリングの時間をたくさん取りたいです。しかし、低学年には2つの壁があると思っています。

1つは、練習が地味なので子供たちが楽しめない練習であることです。集中力が続かないということです。中高生になってくると、バスケを上手くなりたいという自己目標に対して、地味な練習もできるのですが、小さな子どもには難しいです。更に、ボールハンドリングは、手を抜いてやっていると効果がないので「ちゃんと、やれー!」とコーチや親に怒られることが多い練習です。そのため、ボールハンドリングは小学生ウケが悪いです。いくつかの動きは、バスケの動きとは違って見えるので、なぜやっているのか?をイメージできない子供が大半なのでは?と思います。胴回りにボールをぐるぐる回す基本のボールハンドリングがありますが、実際のバスケで、そんなプレーはほぼありません。概念理解ができない小学校低学年には、なんか分からんけどやっている練習に留まってしまいます。(理解できなくても、やらせるのもありますが、たぶん、身が入らないと思います。)
もう1つは、まだ身体が小さいということです。小学生だと5号ボールという中学生男子の7号級と比べて二周りほど小さいです。しかし、160cmを超える6年生からすると、小さいですが、120cmほどの小学校1年生には、大きなボールです。例えば、レッグスルーというドリブルの基礎として、股下にボールを通すボールハンドリングがありますが、足の長さまだ小さい子にはとても難しいです。また、前述の胴回しは、身体の後ろにボールを持っていくことで不安定な状況になり、それを補正しながら落とさないようにすることで、手先や指先の神経を鍛えることが目的だと思います。しかし、低学年の子供の手の長さでは、上手にボールを抱えることができず、トレーニング効果が限定的なのではと思います。

低学年に向けのボールハンドリング練習

上記の様に考えたので、ボールハンドリングの動作を見直して、減らすことにしました。子供達がバスケのプレーとの関係をイメージできる動作に限定しようと考えました。また、少しでも身体サイズに影響を受ける動作内容は減らそうと考えました。そこで、胴回りを回したり、股下でボールを扱う最もオーソドックスなボールハンドリングは外すことにしました。一番最初に紹介したボールハンドリングのYoutubeで見ると、ほとんどの動作を削ろうをと考えました。(もちろんYoutubeで実演している子はすでに身体が大きい子ですので、やれる子はやれば良いと思います。)

具体的には、大きく分けて、3つの内容に絞りました。
1)ボールをキャッチする練習
2)ボールをスピンさせる練習
3)ボールの振り子の練習

これらの動作は、身体サイズに大きく関わらず、比較的直接的にバスケのプレーに繋がりますので、低学年でも取り入れようと考えました。

1.ボールをキャッチする練習

小さい子の最初の壁は、ボールがキャッチできません。ポロポロとボールを落としてしいます。パスの練習をするにも、まずキャッチの練習が最初だと思います。リバウンドもキャッチですし、ドリブルからシュートを打つにも、ボールをキャッチします。また、バスケでは、ドッチボールの様に、下から抱くキャッチの仕方をしては、次のプレーができなくなります。そこで、ボールを横からガシっと掴む必要があるのです。練習でも「ドッチボールキャッチはだめだぞー」とずっと言っています。

1−1)クラップキャッチ1(拍手を2回してキャッチ)
1−2)クラップキャッチ2(身体の前後で拍手してキャッチ)
1−3)クラップキャッチ3(頭肩膝をタッチしてキャッチ)
1−4)クラップキャッチ4(1回転してキャッチ)
1−5)正面キャッチ(両手を広げて胸の前のボールをキャッチ)
1−6)頭上キャッチ(両手を広げて頭上のボールをキャッチ)
1−7)ジャンプキャッチ(ジャンプして頭上のボールをキャッチ)

2.ボールをスピンさせる練習

基本的にボールを投げる時はボールを回転さます。野球も同じですが、バスケの味方に向けてスピーディにボールを投げるためには回転させることが効果的です。(バレーボールのサーブやサッカーのフリーキックで、無回転ボールがの良いケースもありますが、それは相手が取りづらくするためです。)しかも、ボールに指を引っ掛けて回転させます。バスケでは、早く回せば良いだけではありません。シュートの最中で体制を崩した時、ボールを回転させて、ボードに弾ませてゴールを決めることがあります。マイケル・ジョーダンのダブルクラッチで興奮した人も多いのではないでしょうか?強弱を調整して、ちょうど良い回転をさせることが重要です。もちろん、縦方向だけではなく横スピンもさせますし、内回転・外回転もありますし、当然、左右両方でできるようにさせたいです。

2−1)両手で下からスピン(縦方向)
2−2)両手で頭上でスピン(縦方向)
2−3)右手で下からスピン(縦方向)for アンダーハンド・レイアップ
2−4)左手で下からスピン(縦方向)for アンダーハンド・レイアップ
2−5)右手で頭上でスピン(縦方向)for オーバーハンド・レイアップ
2−6)左手で頭上でスピン(縦方向)for オーバーハンド・レイアップ
2−7)右手で外側にスピン(横スピン)小指側に落とし真上に手を挙げる
2−8)左手で外側にスピン(横スピン)小指側に落とし上に手を挙げる
2−9)右手で内側にスピン(横スピン)親指側に落とし斜めに手を挙げる
2−10)左手で内側にスピン(横スピン)親指側に落とす斜めに手を挙げる

3.ボールの振り子の練習

これは、ドリブル技術のベースになる練習です。ボールを左右に振ったり、前後に振ったりします。ボールが落ちるギリギリの瞬間を感じること、肩の動かし方を練習します。特に、前後の振り子は、後ろの振りが小さいと、ドリブルでのバックチェンジが上手くできなくなります。肘を伸ばして、しっかり大きく振らせるにようします。
3−1)正面の左右の振り子
3−2)右足を前に出して、右手で前後の振り子
3−3)左足を前に出して、左手で前後の振り子
3−4)正面向いて背中で左右の振り子

もっと複雑な動きに挑戦すべきか?

コーディネーションという観点では、股下とか、八の字とか、肩越しとか、いろいろ複雑な動作をやった方が良いと思ます。コーディネーションなので、年齢に関係なく挑戦させた方が良いという考え方も同意です。
しかし、数年間、コーチとして低学年練習を設計するには、運動が得意な子もいれば不得意な子もいるし、集中力のある子もない子もいるという現実を考えて、基礎動作を徹底して繰り返しことが有効だと思います。その狙いで、自分なりに厳選した動作にしました。これでも21動作あり、各20秒実施すると7分掛かりますので、これぐらいが適切かと考えました。

一方、コーチという立場でなく、お父さんがお子さんと一緒にやるならば、本人に合わせて、色々やったほうが良いと思います。まだ、未就学児であれば、バスケットボールではなく、小さなゴムボールを使ってやっても良いかもしれません。ぜひ、ネットで調べてみてください。

次は、ボールハンドリングの中でも、ドリブルを含む練習について書きたいと思います。ドリブル練習も、同じ理由で、動作内容を限定する設計にしました。


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