「ドライブ・マイ・カー」見た。

監督:濱口竜介
出演:西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか 他
上映時間:179分 公式サイト


再上映にて。


ある男性の再生劇なんだけど、「再生」という言葉は安っぽく思える。密度の濃いドラマを経て辿り着く、次への一歩劇というか。

脚本、演出、場面構成の妙技に触れる映画。

手話、犬、物音、無音などの演出が風景に溶け込んでいて、スゴいと思った。


新たな道を感じる締めが余韻を含んでいて、めっちゃ良い。
想像の余地を届ける閉幕だから、自然とその先へ思いを馳せた。


西島秀俊、霧島れいか、岡田将生はもちろんだが、渡利みさきを演じた三浦透子が好演。
朴訥と職人気質で、心に悲しみを抱えた女性の回復劇に、強く印象を残した。

みさきを主人公に旅情シリーズできそう。

三浦透子は「天気の子」でボーカル参加していましたね。
まだこの映画の待ち受け画像を使っているから何だか嬉しかった。


突然、予想外の出来事に見舞われた家福悠介(西島秀俊)の心に寄り添うように、劇中劇を挿みながら確実に内心へと迫ってゆく構成はシンプルながら、先に何が待ち受けるのか予測できない緊張感を孕んで約3時間の尺を感じない没入感。


後悔を伴う喪失感と向き合うために、人は人と出会うのだろう。

自分ではない他者との対話こそ大事。
それでも本心は見えにくいし、自分の本心だって見つめるのはしんどい。

様々な状況に対応して運転技術を向上させることで次の道が生まれてゆくのと同じで、人間関係も重ねていくしかない。

人間は多面的。だから魅力的。


存在感を放つ主人公の愛車は、生きるエネルギーに見えた。

「生きてゆく、人生を生きてゆこう」、そう提示してくれるようなヒーリング・ロードムービー。

くすっと笑える部分が無くて、ちょっとまじめにすぎる気もしたけど。




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