「キネマの神様」見た。

監督:山田洋次
出演:沢田研二、菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、前田旺志郎、北川景子、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子 ほか
公式サイト

原田マハの小説を映画化、というよりアナザーストーリー。

映画の感想を書き続けている身としては理想的な原作だったけど、この映画は原作にインスパイアされた別物でスクリーンに映し出されるものは、めっちゃ山田洋次監督の香り。「家族はつらいよ」テイスト。


かつて目指した映画監督の道を諦め、地道にコツコツと・・・生きられずギャンブルと酒に走り続けているゴウ(沢田研二)だが、できた孫のおかげで花が咲き、至福へと到達。

沢田研二の、ろくでなしダメ親父っぷりがうまい。
だけど逃げてばかり自分のことばかりで、応援はできなかった。

諦めきれない映画への思いを持っているはずだけど、そこがあまり見えなくて残念だった。


孫の勇太を前田旺志郎が思いやりを素直に見せながら好演。


映画は、現代と過去を交互に描く展開。

小津安二郎など名匠たちへのリスペクトも込めて描く昭和パートが、キネマ(映画)への情熱にあふれ生き生きと。
助監督の忙しさやデビュー作を撮る喜びと緊張感には山田洋次さん自信の思い出が重ねられているみたい。

若い頃のゴウを演じた菅田将暉、映写技師のテラシンの野田洋次郎、ゴウに恋する淑子の永野芽郁。
この3人が若いエネルギーを嫌味なく体現。

あと、北川景子の昭和の名女優、銀幕のスター役が似合う!
端正な顔立ちがモノクロに映えるし、原節子に見えた。
必見。


結末は見えやすいが、「情熱をかけた思いは色褪せないし、いつか自分や周りも救うんだ」という前向きさが見えてくるから胸を打つ。


志村けんさんの急死やコロナ禍による緊急事態宣言に見舞われ延期が続いた映画「キネマの神様」は、2021年8月6日(金)全国公開。
https://movies.shochiku.co.jp/kinema-kamisama/

今度こそ無事に封切りを迎えますように!


舞台挨拶

7/6に行われた豊中市先行上映会で鑑賞。
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/miryoku/kagayaku/kinema.html

上映後に山田洋次監督の舞台あいさつ!

上沼恵美子さんも来た。

舞台上で進行役がいない対談スタート。結果は失敗。
監督を前にして、さすがの上沼さんも舞い上がっていた様子で始終しゃべりたおし。ほとんど寅さんに出たかったわ!という話を延々と。
「キネマの神様」について監督に振ることわずか・・・。

それでも監督はイライラせず(内心ムカムカしてはったかも)どっしりと構えておられて、懐の深さ、人間の厚みを感じた。

放っておくと夜までしゃべりそうな勢いの上沼さんを制するように司会者が現れて締めの挨拶を振ると、監督は「熾(おき=赤い炭火)を灯すような観賞後の余韻にいつも気を配っている」と話された。

この言葉の感動で、人選ミスな対談の残念を覆い隠して帰路についた。





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