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空の炎症


偏執する大気が
まだらに人々の息を止めては
太陽が
野放図に地を灼く
野垂れて息もたえだえの農夫が
酸素の吹き溜まりで延命を強いられる

一面の収奪は
生物一般に観測される
平均化作用にほかならない
ひずんだ荊が猫を裂く
落ちくぼんだ地面に血が沁み入る

明示された恒時条件に
うなだれて従う日常を
空の炎症が阻害する
風の鋭さに切り裂かれて
ますます亢進する病を
電柱が気怠げに眺めては
ベッドにうつ伏せた身体を
ごろんと仰向ける
これが僕のマーチ
炎症はなおも空に脈打つ
雲が速力を上げて
患部を横ぎる

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