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読書感想『三体III 死神永生』


※本記事はネタバレがアホほど含まれる上に、特にまとまりのない文章です

みんなたちはもう読みましたか?私は土日で一気に読みました。


読む前に

前作『三体II』がそれなりに綺麗にケリがついていただけあって、正直なところ『III』いる?これ以上何すんの??と思ってました。
あと個人的に美しく完結した作品にごちゃごちゃとスピンオフやらエピソードゼロやら追加して後を濁すんじゃねぇよクソわよと思っている人なので、読み始める前はやや身構えていました。結果的には杞憂でしたが。

冒頭

いきなり西暦1453年、落日のコンスタンティノープルから始まってビビりましたが、『コンスタンティノープルの陥落』を読んでいたおかげで歴史的な出来事の流れがなんとなくわかっていたのでスラスラ読めました。世界史選択じゃない人にはいきなりキツいポイントかもしれない。(ディオレナの「第4回ではありません」で笑ってしまった。)

この辺の歴史をサクッと知りたい人にはやる夫スレの『やる夫の城塞都市物語』をおススメします。

文章構成

もともと『三体』『三体II』ともに複雑ながらもスッと入りこめる良い文ではあるのですが、今作は『時の外の過去』という本からの抜粋という形で場面解説が節々に入るので、前の2作よりも格段に読みやすいと感じました。文章のまとまりも心なしか短めだったかと思います。

智子

智子に対する人類の評価がぐるんぐるん変わるのが面白いですよね。
手首ボールジョイントか?ってくらいに目まぐるしく変わります。

幽霊のような謎の存在、人類に立ちはだかる壁、三体文明の大使にして地球文化の理解者、圧制を布く暴君、神、死せる文明の憐れな生き残り、そして最後は人類の守護者として……

『三体』の物語は、時を経て関係性を変えていきながら地球文明と智子が歩んだ道程でもあるわけです。人類と無機物との関係性がとてもエモいことは広く知られた事実ですが、その層にもウケること間違いなしです。早川はマシーナリーとも子をPRに起用しろ。

次元

今作最大のギミックですね。3次元の立体ですらこんがらがるのに4次元ですよ?それを文章で理解しろと??

たまたま以下の動画を見ていたので非常に理解の助けになりました。
みな三珠さくまるをすこれ。

以下の記事もおススメです。

この『次元』というものをストーリーに組み込むだけでもハワイに届くくらいの座布団ものですが、さらにヤバいのは宇宙の成り立ちそのものに対する大胆な解釈です。

光速

「光速が遅すぎる」(たった約30万km/sしかない)ことへの回答を示したのは良かったですね。端的にまとめると

10次元で始まった宇宙が、物理法則を書き換える激ヤバ星間戦争の果てに低次元化と光速の低速化を繰り返した姿が今の宇宙である

一体何を食べたらこんなこと思いつくんですかね?『三体』の宇宙観マジで救いがなさすぎる。はぁ……大好き。

まとめ

個人的には人類が人類ならではの方法で勝利するお話が好きなので、そういう尺度では『三体II』の方が好みではあるのですが……

なんかこうスケールがクソデカすぎて地球文明の勝利とかがもうどうでもいいレベルですよね。(最後の最後まで一応残ったから勝ちと言えなくはない??)我々の想像を遥かに超えて宇宙は厳しかった。マジであの世界に生まれたいとは微塵も思わん。

兎にも角にも綺麗にケリがついて良かった。大満足です。

次の宇宙が時の試練に耐えうる文明を育むことを切に願っています。


おわり

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