(インタビュー企画)香川を愛するその先へ 花崎和真さんの生き方とは。
花崎和真さん(ザキさん)の略歴
独立を見据えた就職活動、社会人生活
ーまず最初に、これまでのキャリアについて教えてください。
「新卒でなぜIT企業に入ったのかというと、実家が自営業(お花屋さん)をしていて、サラリーマンでない家庭で育ったことが影響していると感じます。あまり社会人的なマナーを意識せず、結構自由な家庭だったと思う。将来のイメージとして、自営業か自分が雇われない働き方が頭にありました」。
高校卒業まで、地元が香川県という田舎だったこともあり、サラリーマンをあまり見る機会もなく、学生時代は4年生のときに休学し、世界一周。周りの友達が新卒で社会人になる中で、5年生として就活戦線を経験した。
就活は、膨大なワークシートが売りである本「絶対内定」(ダイヤモンド社)を読んで徹底的に自己分析。その中で、自分の腑に落ちたのは「(組織や肩書に)属さない」ということだった。あとは、「スーツを着たくない(笑)」という思いもあったと打ち明ける。
また、やりたいことが当時は特になく、あんまり嘘をつけないタイプ(本人談)で、志望動機が思いつかなかった。
軸としてあったのは、「志望動機が話せなくてもよい」 &「社員の人が独立してて再現性がある」&「成長や日々成長できる環境があること」ー。
その軸で、ベンチャー系で探していたところ、良さそうと思ったのが、入社したIT企業だった。
入社して5年目までは、採用領域の仕事を担当。当初から、会社だけの働き方は考えてなかった。そこで大阪赴任となった社会人1〜2年目で取り組んだのはブログだった。「世界一周のときに開設したブログが結構見られていたこともあって。当時は広告をつけてなかったが、つけてみようかと思った。ですが、書くのがダルすぎて、あまり稼げなかったんです」と振り返る。
コロナ禍で自分軸の「教育と香川」と向き合う
だが、社会人3年目に東京赴任となった途端に、コロナ禍に。「無茶苦茶暇になった。何を自分がしたいかを考えたら、教育と地元・香川のために何かやりたいと思い立った」という。緊急事態宣言下で、香川県でコワーキングを運営する会社が「25歳以下のオンライン新規事業コンテスト」を開催するという募集を見つけた。内容は、コロナ禍でどういったことができるのかを考えるもので、当時25歳でぎりぎりだったが参加することにした。
コンテストでは、中高生がキャリアについて考える教育プログラムをプレゼンして、見事優勝した。「現在の中高生は、探究の授業(昔の総合の授業)でキャリアについて学ぶのですが、先生が多忙であることと、先生も教育大学を出ていて、社会人経験がない人が多く、またそもそもキャリアは簡単に教えられるものでない」という意識があって、授業以外で代替となるプログラムを作ることができればと企画したんです。
この発表がきっかけとなり、実際に香川県内の民間企業や自治体、高校生が参画して、自社の課題を生徒と一緒となって解決策を考えるキャリア教育プログラム「プロジェクトToBe」が、県内の一部高校の授業として始まっている。
コミュニティ作りを通じて実現したいこと
コロナ禍では感染防止のため、移動が制限され、地元・香川に帰れなくなった。東京にいながらも、どうやったら香川のために貢献できるか考える日々が続く中、『マルチリレーション社会』(多様なつながりを尊重し、関係性の質を重視する社会)という言葉に出合った。「意味としては、多様なつながりがあればあるほど幸せになれます、ということなんですね。POOLOの人なら親近感湧く内容かもしれませんが(笑)。そして、コミュニティを作ることに可能性を感じ、たまたま見つけたTABIPPOのコミュニティマネージャーの養成講座に参加してみようと思ったんです」。
「世界一周でかなりいろいろなコミュニティに関わっていることもあり、自分って結構ハッピーかもしれないなと。そして、あまり外に出ていない香川にいる自分の友達につながりを作ってあげることで自分のやってきたことを地元に還元していきたいと思っている」。
だけど、25歳でなかなか自分を変えるということは難しい。もっと早くからやった方が選択肢が広がる。教育プログラムでは、中高生から多様なキャリアを提供していろんな繋がりを持たせることで、「よりハッピーになれるのではないかと信じている」。
香川好きのコミュニティ「SANUKI BASE」
35歳以下の香川県好きな人々が集うコミュニティ「SANUKI BASE」の運営メンバーの一人でもある。コミュニティでは、公式ラインやSlack上でつながったり、イベントを首都圏や香川で開催したりしている。
「(参加者から)同じ香川出身で集えて、楽しかったです、などの感想がやりがいにつながっている。実際にSANUKI BASEで仕事にもつながっている人がいたりして、すごくうれしい」と話す。
ザキさんのワーク・ライフ・バランスって?
ーご自身でいまの生活に点数をつけるとしたら何点ですか?
「現状には満足していないので、50〜60点ぐらい」とやや低評価。「会社員なので、平日は一定の時間を拘束されてしまっている。自分の活動だけをやっていけるようにしたい」と話す。
今は午前9時〜午後8時まで働いていて、そのあと午前0時まで自分の副業に使っているという。「奥さんに迷惑をかける生活を送ってしまっているので……。自分の時間を使って活動しているので、パートナーの時間を増やしていきたいという思いは持っている」。
自身のワークライフバランスを、実現するのがなかなか難しいようだ。
「自分のポートフォリオ」を作るの大事です。
ー会社員とフリーランスの働き方について思うこと
「会社員としての働き方も、会社の看板を持って、大きな影響力で社会に貢献できるので、その働き方も面白かったりするのかなと思う。だけど、自分の意思が通らないものもたくさん出てくるので、会社の方針みたいな。やっぱり全部は同意できない」。
将来は独立したい思いが強い。そして、「人として話して面白いなと思うのは、独立している人ばっかりだったりする(笑)」と話す。
ー会社員として同意できないときのおりあいのつけ方はあったりしますか?
「折り合いはつけてなくて、副業に逃避する部分もあるが、会社員のとき、友達といるとき、家族といるときと自分自身の中で複数のポートフォリオを作ることで、会社員の自分がダメなときに、残りの他の自分が支えてくれるので、別に軸がぶれることもなくなる。一方で、会社:プライベート=2:8が5:5になってくると、会社員の自分がダメになったときに残りの半分で支えないといけないので、気持ち的にも結構悪くなってくる。だからこそ、ポートフォリオをむっちゃ作ったということもあります。
だからこそ、あんまり会社員の自分がダメなときでも落ち込んだりとかはなかったですね。会社員としてしんどくなる人は逆に頑張りすぎるからだと思っていて、複数あれば頑張る上限も決まってくると思うし、一個ダメでも他ので支えてくれるから、気持ち的にも楽になったり、するのかなというのはあります。一方で、目指したいものがあれば、会社員の自分とかに集中するのも全然ありだと思います」。
地元・香川の良いところ
世界一周を経験したことで、改めて地元の良さに気付いた。元々は、香川いたくなくて大学も県外の大学に進学したこともあった。帰ってきて、海と山、自然があって、ほどよく都心。気候が良くて過ごしやすい。高校時代と違う人と出会う機会が増えて、知ったことで、香川の人、香川のことを考える機会が増えたことで、愛着もでてきたかな。
株式会社香川県の税収を増やしたい
ー将来やりたいことを教えてください。
香川と関わる機会が増え、より香川愛が強くなっていった。今の目標は、香川県を盛り上げることで、その定義は香川県の税収をアップさせることだという。「株式会社香川県と見立てたときに、応援していくためには、税収を維持していかないと残っていかない。(税収を)増やすために、やれることに取り組むことをしていきたい。自身の分野でもある教育を通じて、将来の香川県民を育てていきたい、香川に住んでなくてもコミュニティーを通じて関わってくれる関係人口を増やしていきたいという思いがある」と意気込む。次は観光の領域で関わりたいと、今は、関係人口(地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと)拡大に取り組む事業に携わっている。
そのための独立は、2年後の30歳までを考えているという。「30歳くらいになったら副業での収入でやっていけるようになりたい」と将来を見据える。
「自分で決断する機会を増やして」
ー今の大学生、高校生に向けて人生についてアドバイスするならば、どんなアドバイスをされますか?
「自分で決断する経験を増やしてほしい。自分で決断したことって小さいことでも大きなことでも後悔はしないと思う。論文でもそれは証明されていて、自分が決めたことであればある程度責任を持って、やるしわくわくするし、それは自信になるし、世界一周を通じて、朝何時に起きるのとかどこ泊まるのとか、を決断していって、その積み重ねで自信がついていったという体験があって、幸福だと思えるようになった。
誰かに決められないで自分で決める経験をしてほしい。結果はぶっちゃけどうでも良い。自分で自分を肯定できるので、その方が幸せになれると思う」。
とにかく自分から行動します!
ーキーパーソンとの出会い方は?
自分はSNSを通じて、興味ある人に関して自分から連絡したりしてますね。
最近では、東京にある学生による地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」に香川県出身の方がいらっしゃるのを経済メディア「NewsPicks」の記事で知って、調べてみると高校の後輩と分かったので、連絡して会ったりしました。また自身の教育の分野でも似てる人いないかなと探してみて、SNSで連絡を取ってつながったりしています。
★編集後記
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