やりたい事とやるべき事が一本の道となる時


2014年で世界の第一線で闘う事からより大きな目的と壮大な人間の力の及ばないであろう自然と対峙するビッグマウンテンの世界に転向しました。

このようにより大きな目的への模索の決断ですから当然その時に使った僕の言葉は引退ではなく「転向」だった。
当時所属契約を結んでいたスポーツ量販店にも
僕がソチ五輪後にレースを辞めると伝えていました。その件に関して当時メディアは所属先に問い合わせがあり彼らは「引退」と伝えたわけですけど。

今思うと自分だけが上へ上へと高みを求め生きようとしても大多数の人の当たり前は第一線であるワールドカップや世界選手権そしてオリンピックといったコンペティションの世界を去る時には引退と思うんだなと思います。

そして自分が過ごしてきたこの8年間はどうだったのか振り返ると「やりたい事」を追求してきました。
その結果自分が感じたことがこれでした。
「引退」した元選手でした。

365日×4年=1460日
もっと言えば
365日×3年+364日=1459日

そのたった1日の為にそれも2本滑り切ることができても2分弱の為に1459日を賭けるような生活を山に向き合う中でできていなかった。
どれだけ僕にとってオリンピックが大きな存在であり
自分人として歩む中で自信を律し生活の基盤としてまたは生きる上での目的で生き甲斐だったのか気付かされる訳です。

それに気がついた時
全くもって自動運転になってしまっていた自分の生活に
悲しくなったし虚しさを感じたし情けなかったし
一方でそんな感情に反発する自分もいるのに
その感情に牙を剥き出しにできない自分が尚更虚しく感じていて、それは人にもきっと表情、言動、行動として出ていたでしょう。

「やるべき事」があるのに「やりたい事」を追求しているから心が一つになっていない感覚だったと思う。
2014年から制作に取り掛かり2019年まで5年掛け完成させたドキュメンタリー映画Akira’s project-TwinPeaks-の完成以降、心にぽっかり穴があきそれっぽい顔してそれっぽいスキーヤーのフリして
スタイルとか言いながら今の行動に背を向けていたんです。

では今はどうだろうか。
この数年間幸せだと信じて感じて実際に新しい仲間と素晴らしい時間を過ごして幸せだったんだけど、今は心から幸せなんだ。
ここまでに出会った仲間達や大切な人からいい時間をもらったおかげでこの道を選べたのだから幸せに決まっています。それはもうかけがえのない時間です。
宝です。
何よりも最大で最難関で世界で自分ができない事を見つけた「やりたい事とやるべき事」この二つが別々の道としてあったものが一本の道となって合流し今その一本の道を歩み始められていることこそ
心の灯火をまた大きな炎にしてくれたんだと強く感じこれこそ「幸せだ」今はまさに幸せなんです。

甘んじるな。
心に火をつけて行ける時に行けるだけ
やってみろ!こんな感じが僕にはちょうどいい。
怖い怖いってビビりながら全力でやらなかったら即アウトと言う事のエッジに立たされている時の幸せな感情が生まれる自分にやっと気がつけた41歳。
食いしばってこそ。

そんなの当たり前じゃん。
って事も本でいろんな人が書いてる事だしモチベーション系の人はこぞって言葉にしている事だけど
こればっかりは体験しないとわからなかった。

今僕は希望と恐怖と目標と夢とのパワーに満ち溢れている。

足踏みしてる場合ではない。
人生はなまら短い。やりたいことばっかりやってても幸せになんない。人生の8割は自分をエッジに立たせて奮い立たせて生きていきたい。
だからこそ生まれる普通の生活の多幸感。

考えても出る話じゃないから
なんでも挑戦してみたり、時には手放してみたりして初めて見えてきた世界でした。

今ならわかる。
俺はこの8年間引退していたスキーヤーだった。
山の先輩や仲間や後輩達に失礼なスキーヤーだった。

今は違う
僕はプロスキーヤーだ。

日々の生活での自信を理解していく過程を
みんなにシェアさせてもらいました。

満ち溢れている。

Akira


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