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傷と怒りとTポイント

企画メシの9月の講座が終わった。
テーマは「あなたの傷や怒りをもとに、商業的にヒットする企画に昇華させよ」

テーマがテーマだったので、過去や現在進行形のストレスに改めて向き合う時間をとってきた。心苦しくなるような時間も多くあったが、ひとまず終えることができてホッとしている。

思い出したのは、大きな傷だ。



その人とは2021年の春に出会った。そして付き合って3ヶ月後には同棲が始まった。とんとん拍子に進んでいったが、お互いの価値観が全く違っていたことはすぐにわかった。でも周りの人は「そういうもんやで」と言うものだから、違いを受け入れる努力をし続けていた。そうして1年半暮らしを共にした。

その人は、自分が持っていないものを持っていた。
だから、自分と違う姿に憧れていたのだ。

誰にでもオープンに話しかけられること
悩まないこと
落ち込まないこと
次の日には忘れていること
弱さを開示できること

自分が受け入れることができればいい。
だからこそ、そう言い聞かせてきた。

交際中にマッチングアプリに登録していたことも、深夜3時に泥酔して帰ってきて、寝ている自分をボコボコにされたことも、「SEXは性欲を満たす為のスポーツだ」と宣言された時も。
ショックだったが、「まぁ、そんな人もいるか」「じゃあ、どう受け入れたらいいのか」を考えていた。

今になって振り返ると、とても無理をしていた。
傷の数が増え、深くなっていた。そこには怒りが付き纏っていた。

そして別々の人生を歩むことになってから、その人が目の前に現れると動悸が起こり、汗をかくようになった。病院には行かなかったけど、病院で働いてる人からは「“アレ”ですね」と言われた。

どうしようもないことから、学びを得る

そんな傷と怒りの中から学んだことが3つある。

1つ目は、「どうにもならないことが、人生の中にはある」と言うことだ。
想定通りにことが進むことはほとんどない。そんなストレスに対応するためには、いかに視点を増やし、視座を高め、捉え方を増やし人生の糧にするかが大切なのだと思う。

2つ目は「自分というハンドルを離さない」こと。
当時、相手が持つ幸せの物差しに自分を合わせようとしていた。虫が苦手なのに相手の理想を叶えるために虫が住み着きそうな古民家暮らしをしてみたり、静かな部屋でしか寝れないのにイビキを我慢していたり、嫌な思いも相手の為ならと我慢してきた。

3つ目は「傷と怒りから豊かさが生まれる」ということだ。
悲しさや孤独と向き合うことは辛い。真っ暗で出口の見えない世界を目的もなく徘徊しているようなもの。傷と怒りにまみれた夜は、明けないのかと錯覚するくらい長かった。でもそこから「大丈夫」と思える微かな小さな光を見出し、時間と環境と捉え直しを通して回復する。

目の前に起こることには、きっと全て意味がある。
いつの頃からかそう思うようになった。
最近はストレスを感じた時、いかに楽しむかを考えている。

例えば「Tポイント」
傷や怒り、不条理を感じた時にグッと堪える。
そして心の中で「Tポイントゲット〜」とボソッとつぶやく。

Tは「TSUTAYA」ではなくて「徳」のこと。

「徳」とは「人の良い行い」を指します。「徳を積む」とは、「善行を積む」「良い行いを重ねておく」こと。儒教などの東洋思想に顕著な考え方です。人間の道徳性や社会性にかかわる行動でもあります。

https://domani.shogakukan.co.jp/701319

ストレスを感じた時、周りに当たるなどせず子どもにならず、言いたいことがあっても我慢する。大人として大らかに、穏便に過ごし、たち振る舞う。

それを客観的に捉えて、未来につなげる為のTポイントだ。

痛みを経験してきた人は、懐が深くて優しい。それはそれぞれに辛い過程を乗り越え一回り大きくなるからだ。人はそうやって豊かさを手にするのだと思う。

逃げないで、乗り越えるからこそ、深みが生まれる。
そう信じて、ストレスをできるだけ耐えて、Tポイントを貯めている。


いま苦しいことは、きっと未来に返ってくる。

誰にでもオープンに話しかけられること
悩まないこと
落ち込まないこと
次の日には忘れていること
弱さを開示できること

どれも憧れていた姿だった。
でも間近にいて気がついた。

誰にでも話しかけることはできるけど、細やかな配慮や相手側の気持ちを思いはかる視点がない場合もある。

悩むことは悪いことではない。
その後に行動できなくなることがいけないのだ。
目標や理想があるからこそギャップにもがき苦しむ。その過程で相手や社会、そして自分に対してもどかしさが生まれて当たり前だ。

弱さを開示することは大切だ。
だけど、自分が無い状態で他者へ助けを求め続けることは、自分の弱さと向き合うことから逃げているだけだ。

なりたいと憧れていた姿は、本当は誰よりもなりたくない姿だったのだと。

繊細で客観的で、大勢の前で出しゃばらず、自分を押し出すことよりも場の調和を大切にしようとする。人は好きだけど、必要以上に群れることはキライ。自分が面白いと思った人や事にしか全力で挑めない。そんなメンドクサイ自分に生まれて「良かった」と思えるようになった。

傷や怒りは、自分の軸や信念が見えてくる。
そうやっていつか未来に返ってくる。
傷や怒りは未来に向けて必要な宝の山であり、転んでもまた立ち向かってきた証、ヒューマンタトゥーだ。

これまでの傷や怒りは、自分の目指す人生を具体化させるための「修行」だった。人一倍繊細な自分が、人との出会いや仕事のチャンスを与えてくれた。心が折れても諦めない性格を与えてくれた。
そんな自分に現れた、だいぶクセの強いメガミ様ということにしておこう。

このTポイントは自分の意思では使えない。
何ポイント貯まっているかもわからない。

でも「あ、もしかして」「これって・・・」と思える日が来るまで、Tポイントをコツコツを貯めていこうと思う。

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