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界のカケラ 〜68〜

 そんなことを考えている間に、深鈴さんは少し離れ徹くんの頭を撫でていた。久々の再会と真実が分かってスッキリした様子だ。彼はもう大丈夫だろう。深鈴さんとの約束は彼にとって大切なものだし、命を助けてもらったことも知っている。彼の立ち直る様子が楽しみになった。

 深鈴さんは徹くんと最後のお別れを終え、こちらにゆっくりと歩いてきた。

 「四条さん、今回はありがとうございました。おかげさまで徹くんに最後の挨拶と真実を伝えることができました」

 そう言い終わった後に深くお辞儀をした。

 「どういたしまして。こちらこそ本来は生まれ変わって今の人生を生きている中、ゆいちゃんを通じて急に呼び寄せてしまい申し訳ありませんでした。でもそのおかげで市ケ谷さんは生まれ変わっていく手助けができました」

 「ここからは本人の意志が大事になってきますけど、心の中の小さな徹くんが元気になって考え方も変わったのでもう大丈夫でしょう」

 「そうであることを願います」

 ようやく一息つける様子になった。もちろん深鈴さんは元の体に早く戻してあげなければいけなかったが、どうしてもさっき考えていたことを足早になってもいいから聞きたかった。

 「あの・・・ 深鈴さんに聞きたいことがいくつかあるのですがいいですか?」

 「聞きたいことですか? はい。私に答えられることならなんでもいいですよ」

 良かった。元の体に戻らなければいけないので、手短にすまそうと肩に力を入れた。

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