雑感88:プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン - 実績・省察・評価・総括 -
紹介文の通り、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を一つのプロジェクトとして評価・総括している本です。
冒頭で、著者の前職はJAXAだったと書かれており、ふむふむ日本の宇宙科学の最前線(?)でプロジェクトマネジメントに触れてきた方なのだろうか、などと勝手に想像し、読み進める前から本書の構成に妙な安心感を持ってしまった感は否めなかった。
私個人の雑感としては、プロジェクトとしての定量的・定性的評価は一人のエヴァンゲリオンファンとして非常に興味深かったが、それ以上にインタビューから浮き彫りになる庵野秀明のマネージャーとしての資質に驚かされた。
いくつか印象に残った箇所があります。
大変失礼なことですが、勝手ながら庵野監督はアニメオタク・特撮オタクのおじさんとしか思っていなかった。昔NHKで「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見た時も、ストイックにベストを求め続けていてすごいなあ、周りの人たちは大変だろうな〜くらいにしか思っていなかった。
しかしその中身はまさにプロジェクトマネジメントで求められるコスト・納期・品質のバランスを十分によく見定めながら、アニメに工学的にアプローチし、その辺の商学部卒のサラリーマンなんかよりよっぽどマーケティング思考であり、一方で周りの関係者の能力を最大限発揮できるように振る舞っているという、なんとも超人的な人物であった。
これはすごい。超人というか、万能人か。
その辺の汎用的なマネジメント啓発本と違い、実際のプロジェクトを通じて、そして様々な方のインタビューを通じて庵野秀明のリーダシップやマネジメント論が浮き彫りになっていく構成です。エヴァンゲリオンファンとして、一人のサラリーマンとして非常に興味深く読ませていただきました。
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