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私学を目指せ!

久しぶりに我が部所へ
仕事をサボりにきたのは、看護師B子
1ヶ月会わないと
ずいぶん会ってない気持ちになるものだ

山ちゃん:
おや珍しい、死んだのかと思ってた

そんなハズはない (笑)
ちょこちょこLINEで連絡し合っているのだから

やっぱり、SNSのやり取りと
直に会うのでは違うものだ
肉体持ったのだから、そりゃそうだと
改めて思ったのだった

俺は、長野の木こりが送ってくれた
美味しいリンゴを
B子は、知人の農家で穫れた美味しい長芋を
物々交換する、いつもの慣習だ

B子:
息子は今が大詰めなのに
隙あればyoutubeばっかり見て怒るの疲れた
やになっちゃうわ

そうB子の息子の悠斗は
今年中学のお受験なのだ

そして、悠斗と俺は仲良しで
時々悠斗をレンタルして
俺と遊んでもらう仲なのだ
(ちゃんと、立派な父親がいるよ)

悠斗の将来の夢は、クイズ王
そのためにどうしても東大に合格したいらしい

俺は、京大にしようよと
将来、自分が遊びに行きたいがために
エゴまる出しで、アレコレだまそうとするが
まったくブレない

東大ひと筋なのである

そのために、母親B子は
小学生の時点から
2か所も3か所も塾に送り迎えをし
弁当だ、模試だ、なんだかんだと
必死になってサポートしている

お受験とは、親と子の連係プレイらしいのだ

近況としては
昨年の札幌の東大合格者数のTOP4のうち
私立中学がワンツーを独占
公立が3、4位と続いているらしい

もちろん、悠斗の第1志望は
もちろんNO1の私学

しかも高校がエスカレーターなので
中学3年間ではなく
6年間というスパンで東大を目指すのだ

私学はたくさんお金を巻き上げたいので
高校からは公立へ
という道は良い顔しないらしい

つまり、受かったら6年、覚悟するのだ

毎年の基本授業料120万円
それに+αがゴロゴロとかさむらしいし
年々負担は右肩上がりだという

話を聞いていて吐きそうになった
恐ろしい、俺には絶対ムリだ

じゃあ

悠斗はどのあたりに位置しているのだろうか
大手塾の模試の結果では
第2志望の私学は楽勝で合格圏内らしい
第1志望もちゃんと圏内なのだが、、、

B子:
悠斗は、気持ちが弱いから
自信をつけるためにも
もうちょっと根詰めなきゃダメなのよ

B子は本命よりも受験日の早い私立中学で
慣らし受験をさせたかったようだが
その私立中学は
今、アメフト部で大問題になっているあの法人で

絶対に受けない
と、悠斗はキッパリ意志を表明
そうなると第1志望が
受験本番1発目になるのだという

中学は望んでもいない
ただの義務だと思い込んでた俺にとっては
母親と息子でタッグを組んで
自ら戦略的に考えないといけないものなのかと
なんだか狭苦しい話だな、と思ってはいた

でもまぁ、悠斗が東大を卒業して
クイズ王になれるのをイメージしたら
俺もすごくワクワクするし、誇りに思えた

それでいいのだ

大変そうだし、ストレスフルかもしれないが
まぁそこそこガンバレれ、と
お受験で頭がいっぱいの母親に、叱咤激励した

B子:
ねぇ、受験終わったら
悠斗と遊びに行ってあげてね
それが、今回のご褒美だって、ガンバってるから

山ちゃん:
ええよぉ~、お安い御用だ
俺とのデートで私学のお受験ガンバれるなんて
嬉しいこと言ってくれるじゃないか

そう言って立ち上がったB子は
精気がなく風が吹けば倒れてしまいそうだ

何と言えばいいのか
オーラが薄い、といえばシックリくるだろうか

悠斗の前に
こりゃ、B子が倒れるな
ちょっとだけ心配になったが
倒れたB子を見てみたい気もするので

おぃおぃ母ちゃん、しっかりすれよ
もっともっと
もっとガンバるんだ

と、B子の背中を見送った


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