敢えて「感情」を書く【文章術066】
本noteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。
今回は、書き手の感情・主観に関する表現を、有効活用する方法について考えたい。
前提として、主観・感情は省く方が好まれる
大前提として、書き手の主観・感情を、文章内に含めるか否かは、その文章を書く媒体や企画などによっても異なってくる。
おそらく、ライターの仕事としては、「主観・感情を省く」方が、割合は圧倒的に多いだろう。ここを省くトレーニングについては、前回のnoteで紹介した。
また、コメントなど、例外的に主観・感情が期待されるコンテンツもあることを紹介した
敢えて「感情」を書く
そのうえで、一般的な文章でも、「驚いた」など筆者の主観的・感情的な表現を、アクセントとして使うのが、効果的な場面があることを考えていきたい。
特に分かりやすいのが、文章や段落の書き出しだ。これは、ある種のトピック・センテンスやキャッチコピーに近い役割を果たす。
こうした主観・感情を混ぜる書き方がもたらす効果はおそらく2つある。ひとつは、読者に擬似的な追体験をしてもらい、モノゴトを想像させやすくすること。もうひとつは、筆者の立場・視点を明確にすることだ。
つまり、書き手の主観を交えることで、読者は無意識的に「この文章はどんな視点・バイアスで描かれているのか」を把握することができる。
例えば、上の例文では、書き手がファミリーレストランで料理を運ぶロボットを初めて見て衝撃を受けているのが、すぐ把握できる。普段それほどの頻度で外食はしないのだろう。
そして、この記事はおそらく「ここ数年、特定のファミリーレストランにあまり行く機会が無かった人」が読者ターゲットになっている。
では、次のように書き換えたらどう変わるだろうか。
このように、感情的な表現を排除しても、工夫はできる。この辺りは、好みにもよると思うので、どちらを選択するのかは自由だ。ただ「分かりやすさ」「キャッチーさ」では、「驚いた」の一言の方が、インパクトがあるように思える。
第三者を役者として登場させる
どうしても主観を入れられないが、感情的な表現を取り入れたいという場合には、他人を舞台役者として登場させるという手法もある。
この手法は、例えば、記事のテーマと書き手の主観が異なるような場面で効果的だ。
上の例文では、一般的には物珍しい体験について書いているが、書き手としては取材を経てその事象について熟知しているのだろう。そういう状況でも「感情」を書くことで、記事の視点を分かりやすく定めている。
効果的な場面を見定めて使ってみよう。
練習課題
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