理解して使いわけたい4つの「比喩」【文章術079】
本noteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。
今回は「比喩(ひゆ)」表現の4つの手法をおさらいし、執筆時に意識した使い分けができるようにしたい。
1)直喩(ちょくゆ):まるで〜のように
まず、「直喩(シミリー)」とは、それか例え(比喩表現)であるとわかるように明示する書き方だ。
例えば、「まるで〜のように/〜のような」といった表現を伴う。
比較的、読解力を求めないため、ビジネスシーンにおける文章で比喩を使うならば、これを選んでおけば間違いない。
2)隠喩(いんゆ):「〜のよう」を使わずに断言
一方、「隠喩(メタファー)」は、例えであることを明示せずに、断言しているような書き方だ。つまり「まるで〜のように/〜のようだ」の類を伴わない。
隠喩は文章におけるアクセントになる。ただし、使い過ぎると、凝りすぎて読みづらい文章になってしまいがちだ。使うとしても、ライターが1つの記事で1回使うくらいで十分過ぎるだろう。
3)換喩(かんゆ):近いモノに置き換える
「換喩(メトニミー)」は、定義を調べると難しく表現されているが、要は“近いモノ”に置き換える書き方だ。
上の例文では、本来「あの料理(あそこの定食屋が出す料理)」=「美味しい」という構造をとるはずだ。しかし、それを「あそこの定食屋」=「美味しい」へと置き換えている。
他にも、「ショパンを弾く」という文があったときに、換喩を使わないならば「曲(ショパンが書いた曲)を弾く」となる。
換喩は、口語表現や文芸表現ならばさほど問題ないが、ビジネス文では、誤解を招かないように正確性のある文章に差し替えた方が良いと思う。
4)提喩(ていゆ):特定の単語が概念を表すとして使われる
換喩に似たもので、「提喩(シネクドキー)」という比喩表現もある。こちらは、特定の単語が概念を表す例として使われる。
例えば、例文における「お茶」は、単語としてのTea(茶)を意味するのではなく、Drink(飲み物)を指している。別にコーヒーを飲んだって構わないわけだ。
つまり、実際に単語の指し示す意味が「お茶」→「飲み物」へと変わっている。
こちらはほぼ慣用表現に使われるモノなので、文芸や言語学の世界に深く足を踏み入れなければ、さほど意識する必要はないのではないだろうかと思う。
練習課題
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