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「40文字」ぴったり作文のすゝめ【文章術003】

僕のnoteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うための練習課題を出していき、そのポイントを解説していく。

今回は、文章の質を高めるトレーニングとして最適な「40文字」ぴったり作文に挑戦してもらう。課題の解説文が長いので、前文は省略して、早速取り組んでいきたい。

ランチを説明する文を書いてみよう

こちらが、第3回目の課題だ。

【課題003】自分のランチの写真を説明する、ぴったり40文字のキャプションを書こう。

課題の意図を理解してもらうために、以下では手本として書いていく過程を紹介していきたい。ここでは、僕がランチで食べたパスタの写真を使う。

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まず、文字数を意識せず、適当に説明文を書くと以下のようになる。

昼食で食べたパスタの写真だ。味付けにはバターと麺つゆを使った和風パスタで、具材には冷凍のバナメイエビとほうれん草を使っている。


文字数をチェックしてみると、句読点のみで62文字である。なお、使用しているエディタに文字数カウントがない場合には、下記のように10文字「あ」を入力して改行を調整すると数えやすい。

ああああああああああ
昼食で食べたパスタの
写真だ。味付けにはバ
ターと麺つゆを使った
和風パスタで、具材に
は冷凍のバナメイエビ
とほうれん草を使って
いる。
(63文字)

文字数を40字に揃えていく

先のランチ説明文を40文字ぴったりまで減らしていこう。まず「の写真だ」は言わなくてもわかるので削除しよう。以下、追加した部分を太字で、削除した部分を(太字)で表していく。

昼食で食べたパスタ(の写真だ)。味付けにはバターと麺つゆを使った和風パスタで、具材には冷凍のバナメイエビとほうれん草を使っている。(63→59文字)


同じく、「味付けには」の部分も書かずとも伝わる情報なので、省ける。

昼食で食べたパスタ。(味付けには)バターと麺つゆを使った和風パスタで、具材には冷凍のバナメイエビとほうれん草を使っている。(59→54文字)


よくみると「〜パスタ」「〜を使ったパスタで、〜」と同じ単語が2回出てきている。これは1回で問題ない。意味が通るように気をつけつつ、後ろのパスタを「味」へ変更。

昼食で食べたパスタ。バターと麺つゆを使った和風味(パスタ)で、具材には冷凍のバナメイエビとほうれん草を使っている。(54→52文字)


あと11文字。「冷凍のバナメイエビ」も料理を伝える上で優先度の高い情報ではないので、シンプルに「エビ」へと削ろう。

昼食で食べたパスタ。バターと麺つゆを使った和風味で、具材には(冷凍のバナメイ)エビとほうれん草を使っている。(52→45文字)


末尾の「使っている」も字数が多くてもったいない表現だ。「使った」に変えてみる。

昼食で食べたパスタ。バターと麺つゆを使った和風味で、具材にはエビとほうれん草を使った(ている)。(45→43文字)


あと3文字だ。さらに見直してみると「昼食で食べた」に2回「食」の字が続いていてくどい。ここも上手く削れるだろう。例えば「昼に食べた」にしてみる。「昼食の」でも良いが、今回は「先ほどの昼食に食べた」というニュアンスを出したいので前者を採用。

に(食で)食べたパスタ。バターと麺つゆを使った和風味で、具材にはエビとほうれん草を使った。(43→42文字)


あと2文字。「具材には」は「具は」でもなんとか伝わるだろう。

昼に食べたパスタ。バターと麺つゆを使った和風味で、具(材に)はエビとほうれん草を使った。
(42→40文字)


これで、63文字から40文字への減量に成功した。Before・Afterを比べてみると文量は約2/3になったが、伝わる情報自体はさほど変わらないのが分かるだろうか。なお、今回の課題では、もし削りすぎたら40文字ピッタリになるように文字を増やして調整して欲しい。

(Before)
ああああああああああ

昼食で食べたパスタの
写真だ。味付けにはバ
ターと麺つゆを使った
和風パスタで、具材に
は冷凍のバナメイエビ
とほうれん草を使って
いる。

(After)
昼に食べたパスタ。バ
ターと麺つゆを使った
和風味で、具はエビと
ほうれん草を使った。



文字数をぴったり合わせることが訓練効果をUP


実際に、雑誌やパンフレットなど紙媒体に掲載される原稿を執筆する際には、こういったテクニックが必須だ(本来はAfterの状態からさらに推敲を行う)。例えば、雑誌の原稿を書いているときには、「この写真のキャプション(説明文)を書いてください」という指示が1ページあたりに何個も配置される。

普段はわざわざ言語化していないが、多くの書き手はこういった作業を繰り返し頭の中で自然に行なっている。そして何より、長文を執筆するときも同じことをしている

もちろん、ライターが実際の仕事で書くキャプションでは40〜60文字、60〜80文字のように幅があるので、ここまで厳密に字数をぴったりそろえなくてはいけないことは稀だ。しかし、ピッタリ字数を合わせる前提にしておくと、強制的に考える回数が増えるので、無駄な文章を書かない癖をつけるためのトレーニングとしてはより効果的になる。

なお、本マガジンの課題についての補足説明は、Twitterの「MOJIBITO|文章術」(@mojibito)アカウントにて投稿中だ。また、サークル機能の「MOJIBITO」にて、添削用の送信フォームも用意したので、本マガジンの課題に本気で取り組む際には、ぜひ活用して欲しい。

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