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文章の「リズム」を作る(前編) 【文章術015】

僕のnoteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。

今回は、文章における「リズム」を整えることについて考えてみたい。

文章の「リズム」とは何か?

そもそも、文章における「リズム」とは、曖昧な概念である。しかし、確かに「リズミカルな文章」は出会うと心地よいし、「リズムの悪い文章」は読んでいて辛くなる。こういった現象は、おそらく多くの方が実体験を通じ理解しているだろう。

そこで、ビジネス文体も含めた“普遍的な文章”に関して、読んでいるときに、『飽きず、違和感なく、スッと理解できる』——我々は、そんな文章にリズムを感じるのではないだろうか、と仮定して話を進めてみたい。

そのうえでも「リズムを作る」という行為は説明しづらい。そこで、今回は「リズムを阻害する要因」を排除していくという方向で考えていきたい。

リズムを阻害する要因を考える

先ほどの仮定を反転させると、『飽きやすく、違和感を感じ、なかなか理解できない』——そんな文章こそ、「リズムが悪い」ということになる。

こうした原因になる要素を考えてみたところ、以下の6項目が思い浮かんだ。前編では1〜3について紹介したい。

1)一つ一つの文が長い
2)文末に同じ表現が繰り返される
3)間伸びする表現が多い
4)意味のまとまりが分かりづらい
5)情報に抑揚がない
6)話が脇道に逸れすぎる


|1|一つ一つの文が長い

まず、文が長くなることは避けたい。例として、本稿で先ほど書いた文をつなげてリズムを悪くしてみよう。

【長い場合】そもそも、文章における「リズム」とは、曖昧な概念だが、「リズミカルな文章」は出会うと心地よいし、「リズムの悪い文章」は読んでいて辛くなるので、こういう現象自体は存在するのだろう。

実は、プレゼンテーションを聴いていたり、インタビューをしていたりすると、こういった話し方をする人はかなり多い。耳で聞いていてもなんとなくわかったような気になる。しかし、文章にするとリズムを崩す原因になりやすい。

これを解消するには「だが、」「ので、」といった表現でつなげている部分を、一度切り離すことで、文を短くすればよい。

【文を分けた場合】そもそも、文章における「リズム」とは、曖昧な概念である。しかし、確かに「リズミカルな文章」は出会うと心地よいし、「リズムの悪い文章」は読んでいて辛くなる。こういった現象は、おそらく多くの方が実体験を通じて理解しているだろう。

文を短くするには、さまざまなパターンが存在する。ここでは全てを紹介できないが、普段から短く細切れにすることは意識しておくと良い。

|2|文末に同じ表現が繰り返される

文末に同じ表現が続くと、音の響きに違和感を感じやすい。こちらも本稿の文を一部編集して、感じ方の違いにどういう差が出るのか、検証してみたい。

【同じ文末の繰り返し】実は、プレゼンテーションを聴いていたり、インタビューをしていたりすると、こういった話し方をする人は相当います。耳で聞いていてもなんとなくわかったような気になります。しかし、文章にするとリズムを崩す原因になります
【文末の表現を変えると】実は、プレゼンテーションを聴いていたり、インタビューをしていたりすると、こういった話し方をする人は相当います。耳で聞いていてもなんとなくわかったような気になるものです。しかし、文章にするとリズムを崩す原因になりかねません

まぁ、「ます。」が3回続く程度なら、ギリギリ耐えられるが、それでも機械的な響きには感じる。一方、「ます/です/ません」と変化を加えた方が、「呼吸」とでも言うべき有機的な余韻を感じ、文章におけるリズミカルさが出たと思う。

また、文末の表現を変えるならば、「体言止め」を活用することも有効だ。

【同じ文末の繰り返し】冷蔵庫のチルドルームにあったのは、明後日が消費期限のタラコでした。そう言えば、乾燥パスタも、ちょうど残っているのが1人前でした。そこで、夕飯にはタラコパスタを作ることにしたのでした。
【体言止めを混ぜる】冷蔵庫のチルドルームにあったのは、明後日が消費期限のタラコでした。そう言えば、乾燥パスタも、ちょうど残っているのが1人前。夕飯にはタラコパスタを作ることにしました。

これはわざと作った極端な文章比較だが、比較してみると、稚拙な印象が減り、自然さが出たことを感じる。

ただし、体言止めは情報不足になりがちな表現なので、多用するのは避けるべきだとは思う。こういった場面では、中央に挟まれた文を体現止めにすることで、自然さを維持しやすいだろう(※文頭や文末であえて体言止めを使うこともあるが、慣れるまでは手を出さない方が良い)。

もちろん、「に」や「へ」を使って余韻を持たせることもできる。ただし、こちらはかなりカジュアルに砕けてしまうので、タイトルや見出しなどを除けば、ビジネスシーンで使うべきではない。一方、エッセイ風の文章などで使うのは問題ないとは思う。

【「に」や「へ」を混ぜる】冷蔵庫のチルドルームにあったのは、明後日が消費期限のタラコ。そう言えば、乾燥パスタも、ちょうど残っているのが1人前だった。そこで、夕飯にはタラコパスタを作ることに。

|3|間伸びする表現が多い

「という」「について」「思う」「こと」「だろう」「している」などの表現を入れすぎると、文章が間延びしがちだ。リズムを整えるうえでも、過剰な使用はさけたい。たとえば、以下のような文章はNGだ。

【間伸びした場合】冬の早朝については、リビングが寒いだろう。エアコンを使って部屋を温めるまで時間がかかるので、寒さに耐えている人も多いだろうと思う。しかし、家電を自動で操作できる「スマートリモコン」というジャンルの製品を使うことで、早朝に暖房を自動でオンにすることで、寒さを我慢することがなくなると思う
【間伸びする表現を省いた場合】冬の早朝は、リビングが寒い。エアコンで部屋が温まる時間がかかるので、寒さに耐えなくてはならない。しかし、家電を自動操作できる「スマートリモコン」を使えば、暖房が自動でオンになるため、寒さを我慢せずに済む。


今回の練習課題

では、解説の途中ではあるが、前半3つのテクニックを使って、意識づけの練習をしてみよう。

【練習課題015】まず、テーマはなんでも良いので、一つ一つの文が長く、文末に同じ表現を使い、間伸びする表現を多用した文章を200〜400字程度でわざと意識的に書いてみよう。そして、その文章の悪い部分を自分で修正してみよう。

===(4〜6の解説は、2/5投稿予定の後編【文章術016】に続きます)===

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