「文章の締め」は10の型で書き分ける【文章術062】
本noteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。
今回は、記事の末尾の締め方について、10種類の型に当てはめて考えたい。
末尾の締めは悩みがち
文章の末尾をどのように締めるべきか。記事を書いたことがある人ならば、一度は悩んだことがあるだろう。
実は、ある程度経験を積んだライターや編集者がこの「文章の締め」を見ると、その書き手がどのくらい執筆にこなれているのかが分かる。
これは、文章の締めが読後感に大きく影響するからだ。言い換えるならば、文末のスタイルが記事として想定する「機能」の一部を左右している。
どんな締め方があるか?
そんな理由もあって、書き手は、自分がどんな型で締めを書いているのかを、意識的に判断できた方が得だ。ここでは、文章末尾の多様な書き方について、実用性の高い10の型を定義してみた。
|1|放置型:なし(そもそも締めの文を書かない)
|2|サマリー型:このように文章の末尾を締める型には、主に10の種類があり、記事が狙う効果によって使い分ける必要がある。
|3|結論型:このように文章の末尾を締める型には主に10の種類があるが、実務で特に使用頻度高いのは、そのうちの●、▲、■の3つだ。まずは、この3つを使いこなせるように練習していこう。
|4|期待型:末尾を締めることで、文書全体が弾きしまるものだ。ぜひ、普段意識していなかった書き方を身につけて、書き手としての引き出しを増やしてほしい。
|5|推奨型:なお、文書の末尾の書き方についての詳細は、以下の有料noteにまとまっている。もし、本格的に学習したい場合には、購入を検討してみると良いだろう。
|6|補足型:関連したところでは、文書の「書き出し」については【文章術020】で既に紹介している。興味があればそちらもご覧いただきたい。
|7|余談型:そういえば、最近ライティングを補助してくれるAIツールも話題だ。書き出しに悩んだときには、こうしたツールを使ってみるのもアリかもしれないと頭の隅に入れておこう。
|8|次回型:次回の連載では、●●●について解説する予定だ。
|9|意見型:このように末尾の型を考えるだけでも、多様なバリエーションが存在する。少なくともプロのライターを目指すのであれば、「いかがでしたか?」で始まる締めしか書けないような状態は必ず脱しておくべきだ、と筆者は思う。
|10|質問型:今回挙げた10の型はあくまでも筆者オリジナルの分類であり、実用性の高いものに絞ったものだ。他にも末尾のスタイルは考えられるはず。皆さんは、どのような型を思いつくだろうか?
中でも、太字で書いた(1)放置型、(3)結論型、(4)期待型、(5)推奨型、(9)意見型の5つは、筆者が日々の仕事をするうえでも、重要度が高い型だ。
例えば、ストレートニュースのような情報を淡々と伝える記事や、雑誌の短めの本文などでは、基本的に締めの文は必要ない。こうした場合には、(1)放置型を選択すべきだ。
一方で、本noteのように情報整理や手順紹介のTipsなどを目的とした記事では、(3)結論型が相性が良い。うっかり記事の全体を振り返る(2)まとめ型を選択してしまいがちだが、膨大な情報を軽く振り返った上で、「読者は結局何をすれば良いのか」「どのポイントをまず覚えれば良いのか」などを書き手が指定してあげる(3)結論型を選択した方が、記事全体が引き締まる。
(4)期待型における「期待」は、読者に対しての期待を意味している。「ぜひ〜してみて欲しい」と柔らかくおすすめするようなイメージだ。この型は幅広いジャンルの記事で使いやすい反面、書き方によってはクドくなるので、書き手の腕が試されやすい。
PR案件などで頻繁に活躍するのが(5)推奨型の書き方だ。もちろん、ストレートに「ぜひ買ってみよう」と書くのは芸が無い。いかに読者に違和感なく外部リンクの商品ページに飛んでもらうのか、試行錯誤が試される部分である。需要は多いけれど、難易度は最も高い。例えば、「ぜひA社の消しゴムを使ってみよう」ではなく、「文房具を訪れた際には、ぜひA社の消しゴムのことを思い出して欲しい」のような言い換えに、書き手のスキルが透けて見える。
(9)意見型は、ある程度ライターの識者的な立場が必要になるかもしれないが、書き手の意見を記事に入れることで、単なる情報を伝える記事を、コラム的な機能を持つ記事へとコンバートできるという機能を持つ。媒体によっては、記事のアクセントとして求められることが多い。
目的と型の相性を見極めよう
例えば、商品の販促を目的とした記事なのに、放置型や余談型などで、文章を締めたらほぼ確実に修正が入る。修正が入らないとしても、記事が想定する効果は発揮しづらい。
また、ストレートニュースを想定しているのに、期待型や推奨型、質問型で締めたら、編集部は頭を抱えてしまうはずだ。
繰り返しになるが、文の末尾には、記事の機能の方向性を固める役割がある。記事の目的や、想定する機能と相性の良い文末の型を選ぶことは、大前提だ。書き手の試行錯誤はその選んだ型の中で行うことになると覚えておこう。
練習課題
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