第三章 草創と守成、いずれが難きや
貞観十年(西暦636)、太宗は側臣に向かって言った。
「帝王の業として、国を建てる草創と、その国を維持する守成とでは、どちらが難しいだろうか。」
尚書左僕射の房玄齢が次のように答えた。
「天地が乱雑で暗い時には、群雄が競って立ち上がり、攻め破って相手を降し、戦いに勝ってようやく克服します。ことことから言えば、草創の方が難しいでしょう。
それに対して、魏徴は次のように答えた。
「帝王が現れるのは、必ず世が衰えと乱れを承けてのことです。愚かで悪賢い奴らを倒せば、民衆はその人を押し