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2024年3月期決算への考察

 2024年5月10日に開示された決算報告から見ると、売上高は1.83兆円で、前期で記録した最高売上高2.21兆円から17%の減収となった。当期純利益も3,640億円となり、トップラインが減少したことから、前期達成の4,716億円から23%減で着地した。この結果、営業高利益率も前期に「VISION25」の目標を達成した28%から大きく後退し、24.9%の結果となった。
一方、今期2025年3月期に関しては、生成AI(人工知能)向けを中心に半導体製造装置の販売が回復するという期待から、売上高は20%増の2兆2000億円、営業利益は28%増の5820億円を見込むとしている。後で示すが、24年3月期の業績をこの数字で確保できたのは、中国向けの売上の急伸であるが、米国半導体制裁で不透明な中国向けの売り上げに関しては、25年3月期では、低下する旨を表明したが、この落ち込みは、台湾など先端半導体向け投資の回復でリカバリー出来ると考えている様である。
 株主としては、今期、本当に半導体市況が回復するのか? また、中国向けの製造装置の販売の勢いがどの様に推移するのかが、大きな問題であることから、以下にこれらを考察してみたいと思います。


 売り上げ推移

 東京エレクトロンのセミコン関係の売り上げ推移を、2013年から2024年3月期までまとめてみました。

セミコン分野の売り上げ推移

 それによりますと、2013年には、5,000億円程度であったものが、5年後の2018年には1兆円、さらにその5年後の2023年には2兆円を超えてきております。これは、驚くべき成長と言って良いでしょう。一方、グラフの中には、地域別に分解した売り上げが分かるようにしていますが、2018年以降で売り上げ伸長を下支えしているのが中国向けの売り上げとなっていることが分かります。加えて、特に、2024年3月期では、全世界的な落ち込みを、中国向けの売り上げが一手に持ち上げていることが分かります。この様子を更に明確にするために、各年の総売り上げにおける各地域の売り上げ割合を示す形で、グラフをまとめ直してみました。

セミコン分野売り上げの地域別割合

 それによると、2019年から2023年まで中国向けの売り上げは、20~25%とそれなりの割合を占めていましたが、2024年3月期には、40%を超えてきています。即ち、この売り上げは、中国依存であったことが分かります。 

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