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参加レポート:「日本のお金をアップデートする。 #01 -お金の価値はどう変わる?-」

2018年5月21日(月)開催のイベント「日本のお金をアップデートする。#01 -お金の価値はどう変わる?-」にブログ枠で参加しました。Fintech分野の先端を行く3人の登壇とあって、かなり楽しみにしていたイベントです。

前置き:
トークは非常におもしろかったのですが、SNS公開NGのスライドあり、プレゼンではなくてトーク中心、トーク中にも「ここはオフレコで」が散りばめられていて、レポートの難易度がかなり高いイベントでした(汗)。
ここでは当日のメモをもとにして内容をレポートしたいと思います。登壇者の立ち位置が発言の意味を補足すると思うので、どなたの発言なのかわかるように書きますが、録音していないので書き起こしではありません。ちなみに、私は金融の専門的な知識は持っていませんので、誤認や知識不足による誤解などありましたらご指摘下さい。(...長い前置き終わり)

-----では当日のレポートです。
凡例:[]は発言者(敬称略), ()は文脈を踏まえての私の補足,【】は私個人の感想です。

登壇者は、
青柳 直樹 氏(株式会社メルペイ 代表取締役)
佐藤 裕介 氏(ヘイ株式会社 代表取締役社長)
光本 勇介 氏(株式会社バンク 代表取締役兼CEO)

モデレーターは、株式会社日経BP 日経FinTech編集 記者の 岡部 一詩 氏
それぞれの詳しい経歴はこちらで。

登壇者がビールを片手に登場して、壇上で3人で「乾杯〜」からトークがスタートしました。(聴衆は飲んでません 笑)

まずは、自己紹介を兼ねたオープニングトークです。
merpay 青柳氏:信用を創造してなめらかな社会を作る。merpayは入口、そこから広げていく。
hey 佐藤氏:これから新しい売り手が増える。それを加速させていく。
BANK 光本氏:1〜3万円の小額資金のニーズを満たす。それを超スピーディでカジュアルに解決する。

【このオープニングで出たワードの「なめらかな社会」「信用」「カジュアル(かんたんでわかりやすい)」などが、キーワード的にこのあとのトークで繰り返し言及されることになります。】

▼ひとつめのテーマは「お金の5年後について」
お金について不便とか困っていることは?[岡部]
・CASHをやってみてわかったことは、思ってる以上にお金が欲しい人がいるということ。1〜3万円くらいのお金のニーズがある。それはメルカリの盛況を見てもわかる。いろいろな手段、チャンネルがある。[光本]
・(お金のなめらかじゃない部分は)投資なら口座を作って振込して…という手間ヒマがかかるところ。お金を移しにくい。クレジットや電子マネーを使えない場所がまだまだ多い。[青柳]
・媒介手段としてのお金は「貝殻」を使っていた時と変わらない。個人認証と同じなのに(国の信用による)貨幣を媒介している。個人の信用を直接判断すれば良い、それには店舗側のソリューションが必要。[佐藤]

話題は、個人の「信用評価」についての話に移ります。信用をどう測っていくか?という問題、「与信」についての議論です。
・信用を創造する。現状の信用は、クレジットカードの「枠(利用可能額)」のように入会時の年収などの条件で決まっている。買物をする時に、将来のリセールバリュー(いくらで売れるか)を考えて買っていれば信用の「枠」を広げても大丈夫、という考え方もできる。[青柳]
・これからの3年で大きく変わる。信用は(ひとつひとつ確かめていくと)コストになる。BANKは信用を(ある意味で)無視してCASHのサービスをつくった。なめらかさを優先した。[光本]
たとえば、1000万円をビルの上から撒いて「持って来てくださーい!」と叫んで、990枚戻って来れば(戻ってこない)10人の信用は無視する(それでいい)。[光本]
【信用評価にコストをかけない、という考え方のたとえ話として話されたのですが、そういう考え方があるのか?!(すごい)と思いました。】

▼テーマふたつめは、お金と生活を支えるテクノロジーについて、です。
・ふたつの方向がある。旧来のサービスをモダンにする正当進化の方向(例としてFOLIO)、そして、既存の金融サービスを金融にはみえないプレイヤーがかんたんに別のやり方で満たす方向。[佐藤]
・これから、お金以外のものに価値がつくようになる。たとえば時間、人、仮想通貨など。いろいろなものに価値が付き、テクノロジーで評価し取引する時代になる。[光本]
・(だいじなのは)マスに向けて、どれだけわかりやすくシンプルにするか。
いち消費者として、金融業界がわかりにくすぎ、小難しく、硬く、冷たい印象を持っていたので、それを、マスのひとが、超かんたん、シンプル、親近感を持つようにしたかった。[光本]
・金融には安心、安全が必要。これまでの「いろいろ」を飛び越えて(サービスを)実現している。(これまでの)ルールや歴史などは理解した方がよい。[佐藤]
・QRコードが流行っているがいまは過渡期。導入コストが安いなど(流行ってる)理由はある。[青柳]
・インターネットサービスを作る上でのノウハウが(金融サービスには)まだ十分に持ち込まれていない。特にUXやデザイン。(金融分野は)デザイン組織に対する投資がまだ少ない。メルカリではユーザビリティテストをやりまくっている。[青柳]
・技術よりも表現が大事。表現の重要性に気づいていない。わかりやすく伝えることに尽きる。[光本]

▼エンジニアについて。この分野でイケてるエンジニアとは?
・お金がなめらかになった後の世界にワクワクできるか?コミュニティーに関与しながらモノを作っていけるか。[青柳]
・(この分野の)市場は広大で、みんなのためのサービスは作りにくい。ものづくりのプロセスを踏めるエンジニアがよい。[佐藤]
・世界を変えたいひと。これからもお金は絶対必要で、そのお金の取り扱われ方が変わる。「枠の外」を考えられる人が変えていく。[光本]

▼(質疑応答の中で、フロアからの「マイナス面」に関する質問に答えて)
・消費者保護、マネーロンダリングの防止など守るべきことは守る。不幸になる人を減らす。[青柳]
・(負債を)お金でしか返せないのではなく、お金以外で返すという考え方もある。いろいろな手段をつくる。[光本]

----約1時間のトークがあっという間に終わり、懇親会へ。

まとめと全体の感想です。
1.新しい「信用」のかたち:

「信用」や「与信」についての議論はとても興味深いものでした。現状は、年収や資産、勤務先の信用度など様々なものが「信用」の根拠になっていますが、それは個人の信用なのかどうか? また、信用する(与信)根拠はなにか?と問うてみることがお金との関係を見直すことにつながります。信用の根拠が変わり多様化していく将来を想像してみることで、新しいお金のかたちやお金とのつき合い方が見えてくるように思いました。

2.テクノロジーについて:
ブロックチェーンなどテクノロジーの議論がたくさん出るのではないか、となんとなく想像していましたが、そこは議論の中心にはならなかったのが少し意外でした。それ(お金や信用のしくみ)が人々にどのように見えるのか、それはどのように利用できるのか、という点の話が議論の中心にあったことが興味深かったです。
もう「fintech」と呼ばない方がいいんじゃないか(テックのイメージが強いので)、という発言も印象に残っています。

3.これからの3年で激変する:
「これから3年でこの分野は激変する」というおひとりの発言に対して、登壇者のの誰も異論をはさみませんでした。激変する、だからおもしろい、いまやる意味がある、という熱い想いも伝わってきました。

4.固定観念に縛られない発想:
どなたの発言がメモがないのですが、「お金はそれぞれの生活や人生に密着しすぎているので、固定観念を取り除いて考えることがとても難しい。どうしても自分の価値観やお金との付き合い方に影響を受けてしまう。」とおっしゃっていたのが印象に残りました。身近にあり過ぎて、お金とはこういうものだという考え方から離れるのが難しい、そこを越える新しい発想が重要という指摘です。

5.最後に「デザイン」の視点からの感想を。
これまで、Fintech系のUIデザインのイベントにいくつか参加して、規制や制度を理解できないデザイナーはこの分野では為す術がない(歯が立たない)かもしれないという危惧、印象を強く持っていました。トークで出てきた「正当進化を目指す」サービスのUIデザインはたぶんその通りになる気がします。
一方で、それとは別の方向もあって「やさしくかんたんで親近感のある」サービス、そのUIデザイン、UXデザインという可能性があることを今回知ることができました。そこなら、人の感性に訴えたりゆさぶることが得意な(美大卒の)デザイナーがおおいに活躍できそうな気がします。
固定観念に縛られずに新しい「お金のしくみ」と「その見え方」について、デザインができることはかなりたくさんある、と認識を新たにすることができたイベントでした。


---おまけ
当日のグッズコーナー。右の[¥10,000]の中味は板チョコ、自宅に帰ってから開けたらまさかのストロベリーチョコでした(みんな同じだったのだろうか)。


▼togetter まとめつくりました。

「日本のお金をアップデートする。 #1 お金の価値はどう変わる?
2018年5月21日開催のイベントのツイートまとめです。

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いただいたサポートで新しい本を買いたいと思います。(^^)

ありがとうございます!
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吉橋昭夫:多摩美術大学情報デザインコース 准教授。サービスデザインの教育・研究に取り組んでいます。ほかに経営学とデザインの境界領域等に興味あり。千葉大学工業意匠学科卒,芸術学修士(多摩美術大学),経営情報学修士(多摩大学)。[発言は個人のもので所属する組織の意見ではありません]
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