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でき太くん三澤のひとりごと その100

◇ 英語の辞書


英語の辞書を見ると、思い出すことがあります。

それは、私がはじめて通った塾でのできごとです。

この「ひとりごと」を長くお読みいただいている方はご存知かと思いますが、私は中学3年生まで、本当に勉強ができない子でした。

英語については、Be動詞と一般動詞の区別もできていなかったと思いますし、数学については小学校算数の内容から壊滅的な状態でした。

この状況で塾に入ると、一般的には私の学力レベルにあったクラスに配属されて、先生に「わからないこと」を教わりながら、できることを少しずつ増やしていくというステップを踏むと思います。

しかし、私が入った塾は違っていました。

たとえば、Be動詞について学習している際に、私が知らない英単語が出てきたときです。

「先生、この単語の意味がわからないので教えてくれますか」

というと、

「入塾の際に、辞書を持参するように伝えてありましたね。その辞書を使って自分で調べてみてください」

と言われたので、おもむろに私が辞書をカバンから出すと、

「できれば、そういう薄っぺらいものではなく、高校生が使うような分厚い本格的なものを購入してください」

と言われました。

渋々その薄っぺらい辞書で自分がわからない単語の意味を調べながら、


「なんでわからない単語の意味くらい教えてくれないのかな。教えてくれたら、すぐに問題ができるのに。わからないことを教わるために塾に来ているのに!意地悪しているの!」


と思っていました。

おそらく子どもなら、だれもがそう思うでしょう。

でも今は、その先生がなぜわざわざ辞書をひかせたのか、その意味がわかります。


勉強は、できるだけ「自分のちから」を使う。

そうすると、どんどん勉強はできるようになるのです。

これは、今もむかしも変わらないこと。


どれだけ自分で読んで、考えて、悩んで、自分のちからを使っているか。

これが学力伸長の大きなポイントなのです。


おそらくその先生も、辞書をひかせるよりも教えたほうが早いことはわかっていたはずです。でもあえて時間がかかっても私に辞書をひかせた。


実際、その当時のことを振り返ってみると、わからない単語の最初のアルファベットがRだから、Rから始まるところを開き、そのつぎのアルファベットがeだから・・・

というように、意味が説明されているページに到達するまでに私はその単語を何度も見て、さらにはその単語がイディオムになった場合についても、自分で見て確認することになるわけです。

ここまで自分のちからを使うと、わからなかった英単語も、さほど練習しなくても意味もわかり、しっかり書けるようになってきます。

簡単に教わってしまっていたら、そうはならなかったでしょう。


私が今も、できるだけ「教えない」で、ギリギリのところまで教えずに我慢して、子どもが「自分のちからでできた!」という成功体験ができるようにサポートする原点が、そこにあると思っています。

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