『家庭教育力』 その②

ここからは対策について考えてみたいと思います。
すぐに思いつく対策としては、次のようなものがあります。

学校がダメなら塾の先生に教えてもらう。
あるいは、家庭教師の先生に教えてもらう。

こういう考え方が出きてもおかしくありません。
しかし、この考え方で大丈夫でしょうか?

この考え方では、我が子の教育をお任せする先が変わっただけで、根本解決にはなっていないように思います。

「人から教えてもらわなければ勉強できない」という依存的なところが変わらなければ、常に今回と同じような不安がついて回ることになります。

言い換えれば、子どもが「他の人の頼らなくても、自分で学習できる」という体質になっていれば、周囲の流れに左右されることなく、学習を進められるということです。

「先生に教えてもらわなければ自分では勉強ができない」という依存心が強いケースでは、子どもに自信がありませんから、塾でも家庭教師でもうまくいきません。

自信のなさは「自分ではできない」というマイナスの気持ちを強化しますから、子どもの不安感は大きくなります。

このような心理状態の子どもは「自分で考えるのは無理だから、私の代わりに先生が考えて、教えて!」という形で、不安感を先生に丸投げします。

相手に不安感を背負わせることで、自分は安心感を手にすることができますから、自信のない子はどの子もみんな、これらの一連の行動をとるのが特徴です。

不安や依存心から、自分で考え、自分で勉強しようとしないのですから、塾でも家庭教師でも、うまくいかないのはこのような理由からです。

次のような例に置き換えると、もっと分かりやすいかもしれません。

自分で考えようとしない思考停止状態のお子さんは、歩くことができる足があっても、「自分は歩くことができない」と思い込んでいますから、その催眠から覚めない限り、自分からは一歩も歩こうとしません。このようなお子さんには、自分で歩けるというリハビリを通した体験が必要です。

ここで、風邪をひいた時のことを想像してみてください。
風邪をひけば、お医者様に診てもらいますが、風邪はお医者様が治してくれるのでしょうか?

現代の最先端の統合医療は、「病気は自分の免疫力で治す」という考え方をします。お医者様が病気を治すのではありません。自分の体質を強くして、病気になっても自分の免疫力で病気を治す予防医学の考え方です。
コロナウイルスにかかった人でも、免疫力の高い人は元気に回復しています。これと同じことが教育についてもいえるのではないでしょうか?

勉強についても、「自分の力で勉強できる強い体質の子を育てる」という考え方が必要です。

先生に教えてもらうことだけが勉強ではありません。
自分が主人公です。自分が学ぶ主人公なのです。
外に依存するのではなく、自分を頼りにするのです。
つまり「自立」です。
教えてもらうことばかりをあてにする勉強では、コロナウイルスに立ち向かう免疫力は育ちません。

自分の力で問題解決できる子どもになることが一番です。自分でどんどん勉強できる体質の子どもが一番強いのです。

では、どうしたら子どもの体質を強くできるのでしょうか?

そのためには、「家庭教育力」の復活がカギだと思います。

お父さんやお母さんが、「我が子の教育の基礎は自分の家でする」と決意することがカギだと思います。

決して、お父さんやお母さんに勉強を教えてくださいと言っているのではありません。子どもに自分で勉強することの大切さを話してほしいのです。
人を頼らないで、最後には自分で全部できるようになることが、どんなに自分を自由にするのかについて話してほしいのです。

勉強の解き方を教える必要はありませんが、このことは教える必要があります。このことは各家庭で教える必要があり、これは親が子どもにバトンリレーとして伝えていくべきものです。これは、学校や塾では肩代わりできるものではありません。

学校や塾では、子どもたちに教科の学習を教えることはできます。しかし、こどもが自立していく上で必要な基礎となるエネルギーを注入できるのは家庭が一番です。「家庭教育力」は、まさにここにあると思います。
家庭で「基礎エネルギー」を満タンに充電できた子どもは、自分から積極的に物事に取り組んでいくことがきます。

コロナウイルスは世界に大きな混乱をもたらしました。
しかしその背後に、問題解決策が秘められています。
「家庭教育力」の復活こそ、真の解決策になるように思います。

次号から、もっと具体的な「家庭教育力」の復活について考えていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?