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シリーズ「パラグライダーで墜落。そして入院」

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パラグライダーの大会でまさかの墜落。硬い地面に叩きつけられながらも数々の奇跡でなんとか生きのびる。手術や治療のことから心の動きまで様々なことを時系列で語っています。
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#事故

これからのパラグライダーとの関わり方を考える(事故と入院を振り返って1) ~第43話 パラグライダーで墜落 そして入院~

パラグライダーの墜落をきっかけとして、Noteにパラグライダーの事、入院のこと、治療のことを綴ってきて、退院までの日記は終わりました。 気がついたら40話を越えました笑 さて、今後は今回の事故をきっかけに思ったことや気づいたこと、そして学んだ事などを総集編としてテーマ別にまとめたことを綴って行こうと思います。 その第一回目となる今回のテーマは 「事故を振り返りつつ、パラグライダーのことと、これからの自分のパラグライダーとの関わり方」 を話していきたいと思います。 ~また

退院。そして新たな旅へ ~第42話 パラグライダーで墜落 そして入院~

墜落してから3ヶ月と3日。  この日、ついに退院することになりました。 パラグライダーでの墜落事故。大事故でした。 ランディング直前、地上約30mで乱気流により翼が大潰れ。翼をリカバリーしたり、緊急パラシュートを開くにはあまりに高度が低すぎました。 その後の分析で翼が潰れた後、自分の操作技術が足りていない部分も判明しました。ただ、仮にそれがうまく出来ていたとしても、ほぼ確実に墜落していたのではないかと思います。30mという高さはパラグライダーにとってそれくらいどうにもなら

死と向き合うということ ~第37話 パラグライダーで墜落 そして入院~

墜落してから2ヶ月と20日程が経った日の出来事です。 パソコンが壊れてしまい、代わりのパソコンは確保できたものの、処理能力が遅い。フォトショップをはじめとする写真の作業をするのは厳しくなってしまいました。 そんな状況の中、開き直って始めてみたことがあります。それは映画を積極的に見るというものでした。そしてこの日見た映画は邦画の「余命十年」でした。 私的な感想は「素直で良い映画」でした。この言葉がこんなにも当てはまる映画はなかなかないと思います。演出、セリフなど、様々な点

不幸やピンチは重なる。 ~第34話 パラグライダーで墜落 そして入院~

墜落してから2ヶ月と7日が経った日のことです。 パラグライダーを10年以上続けてきて、学んだことは沢山あります。 その中で大きな学びというか、教訓が一つあります。 「不幸やピンチなけっこう重なる」 というものです。パラグライダーで飛んでいる時にちょっとしたトラブルやピンチな状況に遭遇することはどうしてもあります。またはそうなった人の話も聞いたりもします。本当はそういうことは極力ない方がいいんですけどね。起きてしまうことはどうしてもあります。 その中で私が学んだことは、

パラグライダーで墜落。そして入院。その29 ~I am photographer~

墜落して1ヶ月と25日程経った頃のお話です。 墜落して2ヶ月後の月末が提出期限のフォトコンテストがありました。もともと出そうと思っていたコンテストでした。 2つの作品をだそうと思っていたのですが、墜落したことで計画がくずれてしまいました。追加で何かを撮ることはもう物理的には不可能です。ですが、病室でパソコン作業をすることはできる。 「今できることをやろう。今の体ではできる範囲は狭いけれど、できるベストを尽くそう。」 そう決めました。 言うのは簡単ですが、パソコンでフ

生きる上で最も大切なこと ~第28話 パラグライダーで墜落。そして入院。~

はじめに 墜落して1ヶ月と25日程経った頃のお話です。 今回は真剣で、踏み込んだ内容を書こうを思います。 世の中のタブー的な部分にも触れることになるので、批判が来る内容かもしれません。でも今回はあえて自分の考えを書いてみようと思います。 リハビリ病棟へ移動して2週間ほどが経ちました。急性期とリハビリ病棟の両方を見てきて、とある「病院の現実」を知りました。 なんといいますか。。。、入院する前に想像していた病院の姿と現実はかけ離れていたんです。 入院患者のほとんどが高齢

ありえない奇跡の理由。見つからない答えを探して 〜第26話 パラグライダーで墜落、そして入院~

墜落して1ヶ月と20日程経った頃のお話です。 手術が終わり、3週間程経ち、病院での生活も安定してきいます。いい意味でいえば日々の生活が安定化してきました。やるべき事は体を戻すためにリハビリをひたすら頑張る。そんな日々が続いています。 悪く言えば、同じ様にリハビリをする毎日。同じ場所。同じ景色。変わり映えのしない日々が続きます。 そんな中、この日の夜はまた精神的に大きく落ちてしまいました。 リハビリは順調に進んていますが、日々の変化は微々たるもの。。。2週間前を振り返れば結

S心のモヤモヤゲージが溜まっていく問題 ~第21話 パラグライダーで墜落 そして入院~

<リハビリをする日々> 墜落して1ヶ月と11日。 自分がどんな精神状態であろうと、一日3回、リハビリは必ずあります。 私自身。精神的に乱れていても、気持ちの部分とリハビリの事は上手く切り離してしっかり取り組む事ができていました。 完全復帰したいという俺の気持ちに合わせてくれて、すごくハードなリハビリメニューを担当療法士さんがやってくれているお話はしたと思います。理学療法士のKさん、作業療法士のTさん、どちらも本当にすばらしい。 <治療とリハビリへの心構え> ちょっと

パラグライダーで墜落。そして入院。その20 ~悲しいお知らせ~

墜落してから1ヶ月と10日ほど経った頃のお話です。 前回、左足が1/3荷重になった次の日に今後の人生計画に大きな影響のあることを知ることになりました。。。。 <知ることになった経緯> 実は石川の病院に入院していた頃、担当医の方がA4用紙に自分の怪我についての情報をまとめた紙をくれていました。 そこには ・怪我の名前と、どういう怪我なのかの解説 ・どういう手術をしたかの解説 ・今後の治療の計画 ・「こういう後遺症が出る可能性があります」といった解説 ・「こういう動きはあま

墜落の全容 後編 -重なった奇跡、故に苦しむ心- ~第17話 パラグライダーで墜落 そして入院~

前回は事故で墜落する瞬間までのお話をしていきました。 今回は墜落した瞬間から、その後までの話とそれに対する心の動きのお話をしていきます。 <はじめに> 前回の投稿で事故の時、自分が致命的なミスをしていない事がわかりました。大きなミスをしていないことから、はじめて「生きていてよかった。。。」と事故後はじめて思うことができました。救われました。 しかし、救われた一方で、生きていたということが段々と私の心を苦しめることになっていきます。 その理由は事故時にありえないほど奇跡

墜落の全容 前編 -事故の詳細について- ~第16話 パラグライダーで墜落。そして入院。

今回は墜落の詳細のお話をしていきます。 <事故の詳細がわかっていない頃> 墜落してから1ヶ月と一週間ほどの頃のお話です。 実はこの頃までは墜落に関してはざっくりとした情報しか把握していませんでした。 把握していた情報は大きく分けて2つでした。 ・現場にいた人から聞いた情報 ・たまたま近くを飛んでいた人の360度カメラの映像に小さく映っていた墜落の様子 なので、 高度30mくらいで翼が大きく潰れて制御不能になって落ちた くらいのことはわかっていましたが、それ以外の細かい

パラグライダーで墜落。そして入院。その10 ~入院生活のコツ2、おすすめアイテムの紹介~

前回に続き入院生活コツについてのお話です。 入院生活でおきる様々な問題や悩み。解決するには基本的に自分から動いていくしかない。具体的には 1)看護師さんにしっかり主張、相談をする。 2)道具を用意するなど、工夫をして解決していく。 この2つが主な解決方法となります。 前回に続き、今回は2)「道具を用意するなど、工夫をして解決していく」の話をしていきます。実際の入院生活からみえてきた俺的おすすめアイテム特集です! では紹介していきましょう! ~暑さ問題への対策アイテム~ 自

パラグライダーで墜落。そして入院。その9 ~入院生活のコツ1、きちんと相談を~

墜落して26日くらい。腰の本手術をした後の話です。 手術は無事に成功したものの、術後はあまりの激痛に悶え苦しみました。 痛みで一睡もできずに迎えた翌日。なんとか我慢できるくらいにまで痛みは落ち着きましたが、それは動かなければの話。そんな体でCTを撮ったりしなければいけなかったので、ベッドからCTの台などに移動したりと体を動かして横腹に力が少しでも入る度に痛みが走るので本当につらかったです。 それでも傷は治っていくもの。時間の経過とともに痛みはひいていくもの。段々と楽になっ

パラグライダーで墜落。そして入院。その8 ~腰の本手術~

墜落してから23日経った日の話です。ついに腰の本手術の日になりました。 正直に申し上げますと、俺は、、、とても緊張していました。 怪我をしてから3回目の手術となり、最も重要なものになります。この手術の結果次第で、どれだけ運動機能を回復できるのか、どれだけ後遺症が残るのかが決まるからです。 まず運動機能回復に関してはカメラマンとして、そしてパラグライダーパイロットとしてまた復帰できるのかに直結します。 次に後遺症に関してですが、入院直後から粉砕骨折した骨が神経を圧迫している