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自治体の背景によって介護予防のやり方が違うよねって話〜数年ぶりにモス食べたらうまかった〜

▼このnoteの音声ver.はこちら。前半は久しぶりにモスを食べた話🍔

今日は午前と午後、両方とも介護予防事業のお仕事でした。
午前中は前にも話をしたサービスCという短期集中予防サービスの8回目だったんですが、2人の参加者さんがどんどん元気になっています。
まぁ、よく喋るんですよ2人とも。
 
2人とも80代の女性2人なんですけど、回を重ねるごとにどんどん喋るようになって、目に見えて身体の変化もあるんです。僕もすごくうれしいなって思いながら毎回関わらせてもらってます。相変わらず特に何をしてるわけでもないんですけどね。
 
今日は全12回の中で口腔ケアの話を最低でも1回はしてくださいね、という事業の決まり事がありまして、口腔ケアの話をする回でした。基本的には歯科衛生士さんがすることが多いんですが、僕の場合は歯科医師さんに来ていただいたんです。一緒に事業をやっている、管理栄養士のゆみさんのお知り合いを紹介してもらいました。僕も元々知り合いで何回か会ったことはあって、府中市の分倍河原駅の近くでみどりの杜歯科クリニックの副院長を務めている、宮田先生に来てもらい、オーラルフレイルの話を中心に個別面談をしてもらいました。午前中はそんな感じでワイワイとやって、そのあとは国立市の予防事業の方に行きました。

サービスCのスタッフひとみ(近所のおばちゃん)とゆみさん(管理栄養士)

国立市では、東京大学の高齢社会総合研究機構がやってるフレイルサポーター事業を実施していて、事業がスタートした2018年から関わらせてもらっています。
 
フレイルを簡単に説明すると、加齢に心身が老い衰えていく状態をいいます。病気と健康の間という表現をしています。フレイルは病気ではなくて、フレイルの基準がありまして、様々な測定によってフレイルの可否を判断します。握力や歩行速度や片脚立ち上がりなどの上下肢の筋力に関わる項目や、滑舌や舌圧などの口腔に関わる項目に加えて、人との関わりやつながりというような社会性を見る項目など様々なチェック項目があるんです。
 
これらのチェックを半年に1回行うのが、僕らのやっているフレイルサポーター事業になります。この事業の特徴は、「市民による市民のためのフレイル予防」を謳っていることで、僕らはフレイルトレーナーと呼ばれているのですが、トレーナーが市民サポートを養成し、市民サポーターが市民に向けてフレイル予防の啓蒙啓発を行っています。
 
2日間の講座を受けた市民はフレイルサポーターとなり、自らが市民向けのフレイル予防講座を開きます。トレーナーは理学療法士等の専門職ですが、サポーターは市民なんです。年齢は若い人だと40代もいた気がします。40代から80代までのサポーターがいて、その方達が、フレイルチェック講座を定期的に開催し、サポーター自身が運営します。
今日はまさにチェック会があって、トレーナーとして参加してきました。今日はサポーターさん18名くらいの参加がありました。

これは本当にすごいことで、市民が全部仕切るんです。僕はフォロー役としているだけ。もちろん、はじめた当初2018年から2,3年は僕らトレーナーが仕切ってその指示に従ってサポーターが動くって感じだったんですが、もう今は市民だけで運営できるようになりました。
 
役割としては司会、受付、測定係(握力、ふくらばぎ周径、滑舌、体組成、片脚立ち上がり)、フレイルの概要説明、グループワークの進行、まとめなどで、見事に市民サポーターだけでやり遂げます。これらに対して参加者はそれぞれのチェック項目に青と赤のシールを貼って、半年ごとにこれを繰り返すことでフレイルの予防を図るというものです。
 
この事業が良いのは、介護予防事業は元々は国が担っていたもので、社会保障費の削減、つまり、国はお金がないから今後は各自治体でやってくれという形で降りてきたものになります。これを各市区町村では地域包括支援センターが担当するんですが、人員や予算の関係で事業を回すのがかなり大変なんです。だから、市民主体の介護予防のための自主グループ(サークル的なもの)をつくってもらい、負荷を減らすようにと動いています。府中市も自主グループをつくろうと、ずっとやってきていますが、なかなか上手くいっていないように思えます。
 
うまくいかないのは、やり方が上手くないからっていうのがまあ正直な僕の見立てです。前も話しましたけど、どうしても行政は行政の立場、役所の立場がある。そして、市民は市民の人の立場、専門職は専門職の立場があると思うんですが、これらが相容れないというか、お互いが主張しあってばかりで、なかなか良い方向に行ってないっていうのが現状の府中市です。
 
府中市は地域包括支援センターが11箇所あって 人員が少ない中、どこの包括も頑張っていると思います。包括の方針に従って自主グループが動いているって感じなので、これも悪くないかなと思いますが、きっとこういう状態を目指しているのではないと思います。だから、やり方は変えた方が良いんだろうなって見ています。
 
そういう意味で、僕は午前中に行ったサービスCに非専門職の市民を入れて、今までとは違った形で介護予防を行っているんです。こういうやり方もあるよっていうのを見てもらいたいという目的もあってやっています。

サービスCの様子

国立市はまた違うんですよね。市民にある程度任せちゃってる。これはとっても勇気あることですよね。ただ、市や包括支援センターにとってみたら、本当大変なことだと思います。多くの市民を入れて、同じ立場で一緒に事業を行うんだから、苦労はたくさんしてきたと思います。2018年の事業開始当初は、市が中心になっている事業だから、市民からの要望などはたくさん出ていました。ただ、国立市の市民性として、市に頼るというよりは自分たちで足りないところはやっていこうという姿勢が強くあるように思えます。
 
府中市は、元々お金があったので、市民としては市に頼めばやってくれるという思いが強くあって、市民が自主的に動くという文化は少なかったように思えます。府中市では、市と市民の境界線がすごくはっきりしているなって感じています。
 
国立市は比較的あの市の職員が市民の方に寄って、または市民の方が市の職員に寄って、うまくやってるようなえイメージがあります。なので、そのような背景もあって、一緒にうまく事業を進められてるんだなという感覚があります。
 
だけど、難しいところもありました。良い意味で市民は自らの意見を主張する人が多く、そういう市民と一緒に同じテーブルに座って、議論ができる市の職員はなかなかいないんですね。言われると、市の立場での「正しさ」で返してしまい、それぞれの暮らしの中にある「正しさ」を見ずに話をしてしまう人も中にはいます。この間に立つのが僕らトレーナーの役割になります。
 
僕自身、こういう役割は好きなんで面倒くさい対話とか議論とか時には言い合いになることもあるんだけど、これは喧嘩ではなくて1つの目的に向かってやっていることだから、こういうのはどんどんやればいいかなと思ってるんですね。逆に僕は議論に火をつけたがる人です。
 
こういうことを5年間繰り返してきて、やっとこうまとまってきたというか、市民サポーター50人以上がそれぞれの個性を活かしながら1つの目的に向かってやっていくっていうのはすごいことだなと思います。
 
今日もフレイルチェック会の後の会議では、市民同士の話し合いの場があって、市の職員は入らずに1時間半くらい喧喧諤諤とやってきました。それぞれの話を聞いてると、そこにはいろんな考え方や背景があって、個性的でいいなと思いながら参加していました。
 
現状では話は全然まとまってないんですよ。でもなんかまあ進んでる感じはありました。ちなみにサポーター発信で新しいことやろうっていう議論だったんだけど、府中市と国立市の違いってこういうところにあって、人口も違う、財政状況も違う、市民性も違うってところでどっちが良いっていうわけではないだけど、それぞれの良さっていうのをお互いが学ぶ機会があったら良いなと思いました。
 
最終的にどこに向かうのかによって手法っていうのは変わってくると思うからこうやって、2つの市の中に入ってこういう経験ができるっていうのは僕はすごく幸せだなと思っています。
 
僕は介護予防は専門職だけでやろうとしてはダメだなんて話を前からしているんですけども、やっぱり非専門職である市民の方たちとどのように一緒にやっていくのかを考えることがとっても大事なところです。
 
1番のところはそれぞれの市が何を目的にして介護予防を行っていくのかを、一度立ち止まって考える機会があったらいいんじゃないかなと思います。計画として出してはいるけど、非常に抽象的でそこに登場する顔が見えてこないんです。必要があれば僕が行きますので、呼んでくださいね。いつも市の会議に入ると、言いたいことを言ってしまうので、こいつ何言ってんだろうっていう空気にさせてしまうことが多いのですが、、、。そこでの僕の役割はそれだと思っています笑。
 
市には市の役割があって、専門職には専門職の役割があって、病院は病院の役割があって、在宅は在宅の役割があって市民は市民の役割があって、みたいなそれぞれの役割があると思うので、それぞれ違った意見でぶつかるのは当たり前なので、その時の目的によって
それぞれの価値のちょうど良いところに落とせるかだポイントです。これが出来る役割がいないので、僕はいつでも入ります笑。
 
今日はつらつらと介護予防についてあのお話をしてしまいましたが、2つの市を見させてもらっているのは幸せだなということと、今後の府中や国立がどの方向に向かっていくのかもとても楽しみだなと言うふうに感じております。
 
そんなところで今日は終わりにしたいと思います。
ではまたー。


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