毒づきドクコのエンターショー8
『グレーっぽいドアでいいの?リコ』とドクコの声が空間に響く。
リコは少し迷った。
『グレーっぽいか緑にするか。。どーしようかな。。』
ドクコはリコの迷っている姿や表情を見逃さない。
『あんたはいつもそーやっていざというときに迷うの?』
『え?』
『なんやかんやでいつもどこかウジウジしてるのよね、あんたって』
リコは図星すぎてうつむいた。
『だって。。。』
さらにうつむくリコ。
『迷うのが悪いってわけじゃないのよ。ただ、バシッと決めないとチャンスはどんどこ走り抜けてしまって、
本当に欲しいものを手に入らないわよ。』
『本当に欲しいもの。。?』
『今のあんたは何が欲しいの?』
『。。。。』
リコは固まってしまった。
自分を見れば見るほど何も思い付かない、真っ白になったからだ。
『あたしは、一体、何が欲しいんだろう。。』
わからなかった。
恋愛に傷つき、好きなることが怖くなり、何もかもうまくいかなくてどうしていいのか分からず、ただ公園で泣いているだけしかできない自分。
そんなダメダメな自分が何を求めているのか。
『リコ!ダメな自分を受け入れることであんたは何度でも生まれ変われるのよ!!自分次第なのよ。さぁ、どのドアにするの?』
『生まれ変われる。。。変わりたい!!』リコは顔を上げ、ドアを選んだ。
『グレーのドアへ!』
清々しい顔でリコはドアを選択した。
『いい顔できんじゃないのよ!』
そういうとドクコはまた大きな薄汚い布を出した。
『さぁ、行くわよ!乗ってちょーだい』
リコは自分から乗った。
今までの自分を捨てたいと心で強く願いながら。
『じゃ、捕まって!飛ぶわよ』
『はい!』
リコとドクコはグレーのドアへ飛び込んだ。
グレーのドアの向こうにどんなリコが待っているのか。。
それは飛びんだ二人にしかわからない。
つづく
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