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ダイバーシティ&インクルージョンについて考えたこと

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ダイバーシティ&インクルージョンについて考えたことをまとめています。
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女性リーダーのロールモデル、キラキラ強そうに見えちゃう問題

女性リーダーであれば、誰もが言われたことがある一言ではないだろうか。 何か力になれることはないかと自分の経験や考え方を共有しているつもりなのだが、こう片付けられてしまっては、なんとも言えない気持ちになる。 いったい何が起きているのだろう。 キャリアのロールモデルが少ないと20代後半で会社を設立した頃、あるメンバーに「あとは結婚して子どもを産むだけですね」と言われたことがある。女性役員は私だけだった。上手く反応できなかった気がするが、期待されても無理なものは無理だなあと思

景色を変える仕事をしよう

私は、ライフテーマに「ベンチャー企業における意思決定層の多様化」を掲げているのだが、これは、景色を変える仕事なのかもしれないと思うようになった。 10%以下の女子比率が30%を超えた日兼務しているみんなのコードは、コンピュータクラブハウス加賀(加賀市)、ミミミラボ(金沢市)、てくテックすさき(高知県須崎市)という施設を運営している。子どもたちが3Dプリンタなどのデジタル機器を利用して自己表現ができる場所だ。 テクノロジー分野も、ジェンダーギャップが確認されている領域である

キャリアのロールモデルになろうとしなくていい

1社でできることには限界があるよな、と思うことがある。 1人でできることにも限界があるよな、と思う。 特に、キャリアのロールモデルの文脈においては、組織の境界をどんどん越えていきたい。 ※私自身、ライフテーマに「意思決定層の多様化」を掲げていることもあり、このnoteでは、数あるロールモデルの中でも管理職の文脈に偏っていることを記しておきたい。 キャリアのロールモデル不足について女性の管理職をどう育成していくかという文脈で必ず登場するのが「社内にロールモデルが不足して

組織の立て直しからダイバーシティ&インクルージョンがカルチャーになるまでの話

NPO法人みんなのコードに関わるようになって2年が経つが、大きく振り返ると、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の観点からも組織がパワーアップしたように思う。 みんなのコードは、フルタイム15名、パートタイムも入れると50名程度の組織だ。この規模の組織あるいはフェーズだからこそ、D&Iの観点でカルチャーにしていけることは何か。 みんのコードがやってみたことをまとめたい。 Step0. コミュニケーション経路を立て直す一般的に、たった数人で始まったチームが社会により

成果志向とダイバーシティ&インクルージョンの関係について

数年前のある日、後輩社員にこう言われた。 「マッチョな文化ですよね」 当時私は、新規事業の立ち上げに夢中だった。社会課題を解決する事業であると確信しているものの、なかなかサービスの価値を理解してもらえなかった頃から、少しずつ契約数が増え、手応えを積み上げていた時期だった。リソースも仕組みも時間も足りなかったけれど、楽しかった。一方、事業継続のために黒字転換を目指し、成果がすべてだと自分を追い詰めてもいた。 すべてが全然足りなかった。 そんなんだから、「マッチョな文化」

ダイバーシティ経営の始め方のはじまり

「ダイバーシティに取り組んでいきたいのだけど、どこから手をつけていけばいいか悩んでいる」という相談をいただくことがあります。 大きく振り返ると、2014年にアディッシュを設立してから、会社の「土台づくり(Step1)」に注力してきました。2020年からは、「ダイバーシティの視点(Step2)」に目を向けられるようになりました。その先に、ダイバーシティを共創へと発展させていく「ダイバーシティ&インクルージョンの視点(Step3)」を描いていますが、正直まだまだこれから、と理解

"ラベルのない出会い"イベント設計からダイバーシティを考える

夏ごろからじわじわと企画を進めていた"同世代が出会うイベント"が無事終了した。 場の設計についてかなり学びがあったので、残しておきたい。 何かやりたいけど、何もできないはじまりは仕事人としての会話だった。 ダイバーシティ領域で事業をしている友人経営者と、何か一緒にできることはないか、ブレストのような会話をしていた。 同じ領域だからといってすぐに仕事につながるわけではない。微妙に対象が異なったり、会社としての位置づけが違ったり(私はライフテーマとして取り組んでいるし)。

【書籍紹介】『Google流 ダイバーシティ&インクルージョン』がガツンときた

ずっと、経営とダイバーシティ&インクルージョンの関係をどう説明するかを考えてきた。私が取り組もうとしている「意思決定層のダイバーシティ」ひとつとっても、その必要性を共通理解する手前にいる。たしかに、ダイバーシティに取り組んだほうが良いっぽいけど、取り組まなくても、いますぐ業績は下がらないのだ。 インクルージョンはその先の話だ。 『Google流 ダイバーシティ&インクルージョン インクルーシブな製品開発のための方法と実践』を読み、組織のダイバーシティが事業活動に活かされ、

女性役員を増やすということは、男性役員を減らす目標を立てることですか?

11日、東京証券取引所が発表した上場企業の行動規範となるコーポレートガバナンス・コードの改訂には、社外取締役や女性の活用についても盛り込まれた。 アメリカでは、ナスダック証券取引所が米国証券取引委員会に取締役会の多様性方針案を提出し話題になっている。取締役会のうち少なくとも2名を女性と少数派を登用、そうでない場合は説明責任を求めるという内容で、今夏までには最初の何らかの決定がされる可能性があるとのことだ。 取締役会の多様性については、昨年9月にアディッシュ取締役会で『経営

"ITベンチャー業界の意思決定層のジェンダーギャップに取り組む"コミュニティをつくる理由

昨年から、じわじわとコミュニティをつくり始めている。 掲げている活動テーマは「ITベンチャー業界の意思決定層のジェンダーギャップ」。 集まってくれた素敵な仲間と濃い時間を重ねながら、複数社で協同したとしたら何が出来るか、模索している。 なぜコミュニティか。私は、自分自身のビジョンを「まだ見ぬ可能性を最大化する構造をつくりたい」と表現しているのだが、まだ見ぬ可能性が含むひとつのテーマとして、意思決定層に女性が少ない現実に対して、社内でのアクションだけでなく、社外とのつなが

"データ=人=男"構造の歪みに気づくには

最近、口を開けばおススメしている本『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く(Invisible Women)』について書きたい。 新しい年が始まったばかりであるが、間違いなく、2021年一番おススメの本である。各社様の文庫に推薦して回りたい。 本書の帯にはこんなコメントが書かれている。 男のために設計された社会で「男も大変」とか言っちゃう傲慢さを知る ──武田砂鉄 ぐっ。 しかし、本書を読み終えると、感想は変わる。 あれ、私も同じではな

2020年、"意思決定層に女性が少ない"をテーマに発信したことまとめ

2020年は、ここ数年間取り組んでいたIPO関連やコーチングの文脈で、イベントに登壇させていただけるようになった年だった。 そして、自分のミッションを表現したことで、本業とはまた違う軸が動きだした。そんな年だった。 特に後者について、2020年のまとめ! 自分自身のミッションが「ない」ことの葛藤新卒で入社したガイアックスは、社会をこうしていきたいとプレゼンする人たちが集まる環境だった。その中で、ずっと、自分自身のミッションが「ない」ことがコンプレックスだった。 自分自

"組織・キャリアにおけるスポンサーシップ"についてまとめてみた

2020年は、「経営・管理職層に女性が少ない」をテーマに細々とアクションしてきた。 「難しい問題だよね」で終わりがちなこのテーマをどう前進させるか。 社内外で壁打ちをさせてもらう中で、個々人の意見や感情はいったん置いておいて、「構造の問題」として課題提起をすれば、具体的な議論につながるのではないかと考え、9月には取締役会でも本議題を扱った。(経緯は『取締役会で『経営・管理職層におけるジェンダーギャップ』に関する議題を初めて扱った話』にまとめている) 「構造の問題」に対し

女性に「管理職になりたいですか?」と問うことが見落としていること

さて、最近、「経営層に女性が少ない」をテーマに様々と考えを巡らせ、構想を紙に落としてはいろいろな人に壁打ちをさせてもらっているのだが、こんな声が漏れ聞こえてくる。 経営層とは、「みんな、管理職になりたいのかな?」という話になることがある。うーん、それは分からないよね、となる。 女性メンバーとは、「管理職が良く分からないから、管理職になりたいのか分からない。」という話になることがある。うーん、それはそうだよね、となる。 女性管理職メンバーとは、「管理職が誰にとっても幸せだ