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"ラベルのない出会い"イベント設計からダイバーシティを考える

夏ごろからじわじわと企画を進めていた"同世代が出会うイベント"が無事終了した。

場の設計についてかなり学びがあったので、残しておきたい。

何かやりたいけど、何もできない

はじまりは仕事人としての会話だった。

ダイバーシティ領域で事業をしている友人経営者と、何か一緒にできることはないか、ブレストのような会話をしていた。

同じ領域だからといってすぐに仕事につながるわけではない。微妙に対象が異なったり、会社としての位置づけが違ったり(私はライフテーマとして取り組んでいるし)。あたり前だが、仕事となると、意識しなくても利害関係が生まれる。ああ。何か一緒にやりたいのに、このままでは何も出来ないな。

「なんか、、、フェスとかやりません?」

気づいたらそんなことをつぶやいていた。

価値観が変わった30代だからこそ

そんなノリで始まった企画だが、それぞれ、一緒にやったら面白そうだと思うメンバーに声をかけ、運営のブレスト会議が始まった。

こんな話になった。

30代ってすごいのではないか。

20代は、それぞれの分野で体当たりしてきた。しかし30代にかけて、体やメンタルを壊したり、人生観が変わらざるをえない出来事やライフイベントに直面したり。

そうした経験をしてきたからこそ、自分自身のサステナビリティを考えたり、見えてきた社会構造への違和感がある

30代になったいまだからこそ、そんな同世代と未来に向けて出会う場をつくりたい。

方向性が決まった。

イベント企画におけるダイバーシティを考える

ダイバーシティには大きくふたつあると言う。

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まず、性別、年齢や人種といった、外見から識別可能な「表層のダイバーシティ」。もうひとつは、外見から判断しにくい「深層のダイバーシティ」。パーソナリティ、考え方や家族などだ。

深層のダイバーシティは、初対面でいきなり触るにはセンシティブだ。採用面接においては聞いてはいけないとされる項目もある。

さて今回、イベントを企画するにあたって、表層のダイバーシティの観点で意識したことがある。

・性別
性別は、企画当初から気を付けたい事項にしていた。運営メンバーも半々にした。声をかけていく過程でも、人数比の進捗を見える化し、強く意識していたわけではないが、なんとなしに、なぜか半々になった。

・職業
ITベンチャー企業で働く、かつ、同じ領域に関心を持つ2人から始まっため、意識しないと属性が結構偏るね、という話になった。なるべく幅広い職業になるように声をかけていった。

排除したこともある。

・仕事の話
肩書や名刺は、それだけで、無意識につながる/つながらないを判断する強烈な情報だ。私たち自身も、仕事人として話をするとき、何かしら判断される前提でそれらしい鎧を着ることになる。そのため、イベントでは、仕事の話はNGとした。建前トークはいらない。

・年齢
イベント参加者を同世代に絞ったため、年齢のダイバーシティを排除したと言える。一方、年齢は、1つの違いでも気遣いが発生することもあり、同世代ではあったが、年齢に言及することはNGとした。

・開催時間
仕事の予定や家庭の状況によっては当然に参加できない人がいた。そういう意味では、幅広い職業の方に声をかけることを意識してはいたが、開催時間によって、ある類の偏りが生まれた。

「人」として出会うことの価値

こうして、仕事人ではない、「人」として出会うことを重視してイベントをつくった

コンテンツはもちろん、コロナ禍を考慮した導線、グラウンドルールの設計、会場選びやドレスコードなどの空気感も工夫した。なかでも肩書・年齢をNGとしたことは大きかった。

「自分」という人間は、いったい何者なのか。

自己紹介タイムでは、生い立ちや価値観が変わった経験をシェアする流れになった。仕事の話がNGとなったことで、最初から、深層のダイバーシティに言及せざるをえない状況になったのだ。自然と。(ちなみに、自己紹介で仕事の話NGというのは、話す前は、自分の半分を失ったような感覚がした。)

どんなコンテンツよりも、この時間が、一番価値のある時間になった。

もちろん、イベントのタイムラインはしっかり組んでいたが、運営にあたっては、当日の流れを楽しもう!という話もしていた。実際、自己紹介タイムに3倍の時間がかかったり、想定どおり運んだアジェンダは何ひとつなかったけれど、想像を超えた空気感が生まれた

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たいていの出会いは、まず表層のダイバーシティから、つながる/つながらないを判断・精査し、後から深層のダイバーシティを知っていく順番ではないだろうか

しかしこの日は、いきなり深層のダイバーシティにダイブする。そんな出会い方をした

この場を経て、改めて、「人」として出会う機会の少なさ、そして、これまでの出会いにおいて、いかに表層のダイバーシティの範囲で様々を判断していたかを考えさせられる機会にもなった。


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