見出し画像

不快感と戦わない

私の20代は、不快感との戦いの日々でした。

不快だったのは、からだの中の緊張感。

その年齢になって緊張するようになった、というよりは、それまでガチガチであることに気付いていなかったのが、22才でバレエを習い始めたことがきっかけで、凍りついていた身体感覚がほどけ始めて、緊張している自分にようやく気付くようになった、のだと思います。

固い背中、首、凍りついたような背骨。

どうしたらこれは柔らかくなるのだろうと、起きて意識のあるときは四六時中あーでもない、こーでもないと試行錯誤してました。

ロルフィングもその試行錯誤の中で出会ったひとつ。

実は私が最初に受けたのは、シン・インテグレーションと呼ばれるものでした。

ちょっとややこしいんだけど、ロルフィングというのはひとつのブランド名みたいなもので、その正体はストラクチャル・インテグレーション(Structural Integration:身体構造の統合)と呼ばれるものです。で、ストラクチャル・インテグレーションの中にロルフィング含めいくつかの名前のメソッドがあります。

最初にシンを10回、そのあとロルファーになることを決めて、それには「ロルフィング」を受けた実績が必要だったので、次にロルフィングを10回。さらにロルファーになるトレーニング中に生徒同士で交換セッションしてもう10回。

合計3回、10回のセッションを受けました。

それはなかなかタフな経験で、からだが統合されて変化していく喜びと楽しさと併せて、今まで身につけてきたものを手放していく肉体的・精神的な痛みや苦しさもたくさんありました。

そうしてロルフィングに出会う前に比べれば、からだに感じていた不快感ははるかに小さくなりました。が、完全になくなりはせず、からだの深いところでいつも「ここにいるよ」とアピールしてくるので、相変わらず試行錯誤は続いていました。

で、ロルフィングの資格を取ったあと、すぐクラニオセイクラルという別のセラピーの資格を取りに行きます。

ロルフィングのコンセプトは画期的でかなり包括的なアプローチができるけど、それだけでは足りない、もっと深いところの繋がり、もっと繊細な繋がりを知りたい、と思ったからです。

そのクラスを受講してるときに、今でもよく覚えていますが、すごく衝撃的な気付きの瞬間がありました。

席について講義を聴きながら、いつものように「ここが固い、どうにか緩まないか」とからだの中でいろいろやっていた私は、ふいに

「緊張を追い出そうとして、さらに緊張させている」

ことに気が付きました。

自分の中にある「不快」を、切り取って外に出そうと、必死にがんばっちゃってたんですね。でも不快感を大きくしていたのは自分自身だったんだ、って目が覚めて、授業中に呆然となりました。

痛みとか緊張感とか、からだの中に生じる不快感は主張が強いです。それは身を守るために必要なメッセージなので、生き物としては当然のこと。気付かないままいたら、どんどん危険な状態になってしまうかもしれないから、いち早く気付いてもらわなければなりません。

でも不快感だけをみて、それそのものをどうにかしようとすると、不快感は大きくなるばかり。いや、多少は小さくなったりもするけれど、でも不快感はなにかが起きている結果でしかなくて、その結果をいじくりまわしても、根本的解決にはなりません。

じゃあどうやって自分の中の不快感を解消するのか?

まずは、不快と戦っている自分に気付くこと。これだけでも余計な力はふっと抜けていきます。

それから分かる人は、不快の局所だけでなく、からだ全体を見る。そして、からだの周りにある環境を見る。

環境とは、足元にある地面とか、身の回りにある空間、空間の中にあるいろんなもののことです。セッションでやる地面を感じてとか、後ろの空間を感じてとか、そういうやつ。

自分を取り囲むあれこれを、身体感覚を通じてどう認識し、どう反応しているか、が、結果として快または不快の感覚を生んでいます。

緊張感というのは、外界からの情報を受け取り、反応するプロセスがスムーズでないときに起きるもの、と私は捉えています。

抽象度の高い話なので分かりづらいかったかもしれませんが、今日お伝えしたかったことはひとつ、不快感と戦わない、ということです。

戦っている自分に気付いたら、ああ戦ってるな、と認めて、不快を追い出そうとする力を緩めてみる。そんな状態の自分に気付くだけで、少し楽になるはずです。

うちのクライアントさんの中には、かつての私のように敏感で不快に反応しやすい方がいらっしゃるので、ヒントになればと思って書きました。

快も不快も、作り出しているのは自分自身。
もし何か響くものがあれば、試してみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?