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【小説・MIDNIGHT PARADE】[あとがき]Free Your Mind


ただ、あの時のわたしは、わたし達は、
夜に飢えて、渋谷を彷徨っていて、
けれど、見知らぬ誰かとフロアの盛り上がりだけで胸を満たし笑い合う一晩が、人生を変え、人生を作った。

ボツになった原稿を公開するのは勇気がいる。

最近の既存の作品のnote無料公開についても、いろいろ言われた。

何かを世界に見せることは、世界の全てに自分を投げることだ。
投げたものの受け取り方は人それぞれなのが当然だろう。誰もの人生が、その人自身のものなのだから。

それと同じように、わたしのハートはわたしのものだから、忘れたくない言葉も、胸に抱いて生きていく言葉も、奇跡のような美しい夜も、自分で選ぶよ。



このご感想は、この小説の題材である90年代のフリー・ソウル・ムーブメントの中にいた人々、そして、今もフリー・ソウルを愛し、DJとして活動を続けている方々からのもの。

〝30年近い年月を越えてサヴァイブしてきた俺達へのプレゼントだったのでしょう。〟

このご感想こそが、わたしへの最大で最高のプレゼントだ。

あの頃の夜の渋谷にいた、あの夜を作ってくれた全ての人に言いたい。

あなた達が音楽と夜を愛してあの夜を作ってくれたから、わたしはこの小説を書けた、と。

降り注ぐミラーボールの光、その場にいる誰もに等しく聴こえる音楽。

人生の全ては恩寵で恩恵だ。

そう、この名曲、Love Tambourinesの『Free Your Mind』のように。

次回からはデビュー作の『ろくでなし6TEEN』をnoteで無料公開します。
時代を越えて惜しみなくわたし達に素敵な夜をくれたフリー・ソウルのように、わたしも歌ってみたい気分なの。引き続きよろしくお願い致します。

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作家/『ILAND identity』プロデューサー。2013年より奄美群島・加計呂麻島に在住。著書に『ろくでなし6TEEN』(小学館)、『腹黒い11人の女』(yours-store)。Web小説『こうげ帖』、『海の上に浮かぶ森のような島は』。