見出し画像

土地に根ざした作品づくり

「別府模様」と「おおいた模様」

フランスに来る前住んでいた大分県別府市では、自分の目から見た、別府の面白いところや素敵なところを、積極的にイラストやデザインに取り入れて来ました。

古くから残る趣のある建物や、昔住んでいた人々の暮らしを感じさせるような小さな通り。もくもくと上がる湯気があちこちに見える、鉄輪(「かんなわ」と読みます。山側に広がる、情緒あふれる地域です)の風景。
別府湾から、街を挟んで反対側の鶴見山まで、海と山に囲まれた別府の街の全てが、山も海もない関東平野に育った私にはとても新鮮で、好ましく映りました。

別府のシンボルである竹瓦温泉や、駅前の油屋熊八像、鉄輪の地獄蒸しなど、そのまま線画にして描いたこともあれば、キャラクターを入れてイラストにしたり、形をデフォルメしてシンプルなシルエットにし、並べてパターン(模様)にしたり。「別府模様」という名前で、手ぬぐいやレターセットなど商品化もしました。そこから大分県についても模様を作ってみませんか、という話が来て、「おおいた模様」もできました(上のイラスト)。大分県のあれこれを、街(赤色)と海(青色)と山(緑色)の3点から集めています。

別府模様 - 別府模様ポストカード
おおいた模様 - おおいた模様Tシャツ 

最初からこうしようと決めていた訳でなく、別府に住み始め、行きつけのお店が出来たり、知り合いが増える中で、ヒントやアドバイスをもらうことも多く、自然といろんな試みをすることになりました。

行きつけのお店を持つしあわせ

別府には、オーナーが一人で切り盛りしている小さなお店がたくさんありました。当時行きつけだったお店を挙げると、ピタパンにファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)の入ったサンドイッチが美味しいカフェ、スコーンやタルトが美味しい紅茶専門店、オリジナルブランドを扱うデザイナーさんのお店、地域の盛り上げ役のレコード屋さん、家族経営の安くて美味しい居酒屋さん等など、オーナーさん自身が魅力的で、お喋りするのが楽しくてよく通っていました。

また、様々なジャンルのアーティストが集う場所でもありました。例えば年に一度、街全体が文化祭のようになるアートマンスというイベントがあります。オープンギャラリーやライブパフォーマンス、ファッションショー等、思い思いの催し物が一ヶ月の間、街のそこかしこで開催されるのです。別府では、創作活動を通して横のつながりができ、作品の多様さ、アイデア、熱心に取り組む姿勢に、たくさん刺激をもらいました。

埼玉に居た時住んでいた所は典型的なベッドタウンで、何をするにも東京へ出ていたので、こうした別府での生活は、今まで知らなかった、地域の人とのつながりにあふれた暮らしでした。街を歩けば誰かに出会う、その距離感がとても心地よかったです。

Beppu帖 - 移住後2年半の超個人的ガイドブック。

今後の展望

さて、別府には2年半で本を作る位にどっぷりハマり込めた私ですが、パリに対してはまだまだ腰が引けています。多分、既にたくさんの人達がパリを描いている、というのも理由の一つかもしれません。言葉の壁もあるかもしれない。でも、焦らずじっくり、少しずつでもいいので、自分の目から見た、パリの素敵な所や面白い所を形にして行きたいと思います。
そうそう、一つ頭にあるのは、パリで活躍する日本人パティシエのお店のパッケージデザインがしてみたい(言葉にしておこう)。イラストを前面に出したものはまだ見たことがないので。お菓子ひとつひとつにキャラクターをあしらって、全体でひとつの物語が出来たら面白そう。コラボレーションのご依頼、お待ちしてます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?