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コロナ禍でグローバルな学びは可能?

新しい年を迎えました。2020年はコロナウイルスの世界的感染拡大という非常事態に立ち向かっているうちにあっという間に終了していたという印象が強いですが、2021 年も引き続きこのパンデミックと共に生きていくことになりそうです。

このように世界の状況が1年で大きく変わることになってしまい、海外への渡航および海外からの入国が厳しく制限されるという状況が続いています。2021年の第1回目の投稿では、このような状況で生徒が日本以外の国の人々から&人々と学ぶということが可能なのかについて書いてみたいと思います。

海外関連の学校行事の状況

2020年度の本校における海外関連の学校行事がどのような状況なのかを、まずご紹介したいと思います。

* 修学旅行

本校では、修学旅行の訪問先が海外と日本と両方設定されていました。(学部などにより、一部国内・海外の訪問先を生徒が選択することができるようになっていました。)

海外への修学旅行について、当初は2020年秋に実施予定でしたが「延期」して何とか実現したいという考えでした。しかし、世界的にコロナウイルスの第2波、第3波がやって来ている中で、結果的には実施を諦めざるを得なくなりました。今年度修学旅行に参加予定だった生徒たちにとっては、非常に楽しみにしていた行事が消滅してしまい、本当に残念・無念としか言いようがありません。

* 海外研修

本校では夏の期間にオーストラリアで現地の姉妹校の生徒さん達などと交流する海外研修、冬にフィリピンのセブ島での語学(英語)研修などを実施してきました。(期間は1〜2週間)

これらについても、この期間で渡航〜交流・研修〜帰国の見通しが立たず、今年度の実施を見送ることになりました。

* 短期留学

さらに、本校で希望する生徒に関しては、学期を海外の高等学校で学ぶ「短期留学」という制度も存在します。1 〜2 週間の修学旅行や海外研修より期間は長いですが、このコロナ禍ではいつ何が起こるかわかりません。海外で感染が急拡大する可能性もありえますし、それらの影響で帰国などに影響が及ぶことも考えられます。

この短期留学についても、やはり今年度は中止とせざるを得なくなりました。

新たに取り組んだこと

こうして見てくると、海外に関わりのある教育活動や行事が「すべて」中止になってしまって、海外の人々から&人々と学ぶということが途絶えてしまったような印象を受けられるかもしれません。

しかし、実際にはこのような状況だからこそ実施した「新しい海外との学び」も存在します。

* 日々の授業にZoom で海外からゲストが参加

コロナ禍で多くの人が活用し始めたのが「オンラインコミュニケーションツール」です。(国内の相手とはもちろんのこと、海外にいる人とも動画による通信を当たり前のように行なうようになりましたよね。)

本校授業では、それを活かして、海外のゲストに授業にライブ参加してもらうことに、2020年5月くらいの早いタイミングから取り組み始めました。主に海外(北米)で生活している20代の方に何人も授業に参加していただき、世界で学ぶこと、生きていくこと、キャリアを築くことなどについてレクチャーしていただくというようなことに取り組みました。(ただ、実際には時差の問題があり、本校生徒たちの授業時間によっては参加してくださった方の深夜だったというようなこともありました。)

* オンライン留学プログラムに参加

実施を見送ることになったセブ島での英語集中講座については、希望者にオンラインで参加してもらいました。

セブ島の語学研修は、もともとフィリピンの語学学校で現地の先生と「マンツーマン」で1日6時間程度英語を学ぶというプログラムでした。現地に行って学ぶことはできなくても、それとほぼ同じような環境はオンラインで1対1のライブコミュニケーションを行うことでほぼ整えることができます。

本校生徒たちには、日本にいながらにしてオンライン英語講座を集中して受講してもらい、語学留学しているのと同じような経験を積んでもらいました。

* スタンフォード大学とのオンライン講座を半年間実施

2020年夏からは、アメリカ・スタンフォード大学のSPICE(Stanford Program for International and Cross-Cultural Education)と協働で約半年間のオンラインプログラム”Stanford e-Eiri”を立上げました。

このプログラムは、スタンフォードの講師の先生とともに半年間、オンラインでSDGs(Sustainable Development Goals)について学ぶもので、全て英語で実施しました。

日本で育った生徒が大半でしたので、その彼女たちが毎回90分程度、英語のプレゼンテーションを行い、英語のレクチャーを聞き、英語で宿題に取り組むという「アメリカの大学の講義を受けている」のとほぼ同様の経験を重ねていきました。(この講座がどのようにスタートしたのか、またそこで生徒たちがここでいかに成長していったかなどについては、別の機会に改めて紹介したいと思います。)

コロナ禍でグローバルな学びは可能?

こうした経験をふまえ、私自身はコロナ禍でグローバルな学びは可能である、と感じています。

本校で今年度実施してきたことはどれも、コロナ前には「ほぼ想定していなかった」学び方です。しかし、実際に取り組んでみると、対面で会うことのできない難しさはありますが、できないことはない(=できる)というのが実感でした。しかもオンラインだからこそ可能になることもあり(「リアル」に学校に来ていただくということが難しいような方にも、オンラインであれば比較的無理なく参加をお願いすることができる、というような)新たな可能性も見えてきました。

コロナウイルスの1日も早い収束を望んでいますが、現在の状況をふまえると、私たちはある程度の期間、コロナと共に(with COVID-19)生きていくことを余儀なくされるでしょう。その際に、コロナ禍だからグローバルな学びは「無理」と考えるのではなく、この状況でいかにこれまでにはなかった新たな学び方を提供できるかが、学校に求められているように感じます。


・・・とはいえ、やはり対面だからこそできること、対面の良さもたくさんありますよね。やはり人との関係は直接会うと深まるということも痛感しています。

1日も早くこのコロナウイルスの状況が落ち着くことを心から願っています。これを読んでくださっているみなさまも、どうぞお身体にお気をつけください。

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