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リモートワーク時代の「装い」は限りなくITに近いのではないか

世の中がコロナで騒ぎ始めた初期の2月後半、私が当時勤めていた会社のオフィスが早々にクローズになり、全社員が在宅勤務になりました。ほぼ自宅を出ない日々を過ごす中で、おそらく多くの他の人たちよりも少しだけ早く在宅勤務に慣れ始めたある日、私はこんなつぶやきをtwitterに投稿しました。

このtweetで、私は「最低限は化粧する(ベースと眉)」を最初に挙げています。出社して他の社員に会うこともなく、数少ない社外との打ち合わせもほぼテレビ会議のみという状況だったにも関わらず、化粧をすることが在宅勤務を乗り切るために大切な一つのポイントだと考えていたわけです。

その理由は、まさしくこちらに書かれていることに他なりません。

以前と比べて面と向かって会うことが少なくなっているなか、「装う」ことにはどんな意味があるのでしょうか。例えば、化粧や装いには、相手からの見た目を整えるだけでなく、自分の気持ちを上げる、奮い立たせるといった前向きの意味もあると思います。

プライベートと仕事の境目がなくなり、ともするとスッキリしない気分のままだらだらと仕事をし続けてしまいそうな状況に対して、化粧をすることで「オン」のスイッチを入れて、仕事のやる気を入れる。という意味が実際にあったと思います。

もう一つ、「人と物理的に会わない」から「バーチャルで人と会う」へのシフトの過程で大事になったのが、「ビデオ会議で顔を合わせることを前提として装う」への対応でした。先日noteにも書きましたが、私は先月(8月)にリモートワークを前提とした職場に転職しました。

同じ日本のオフィスのメンバーとは現在も週に1-2回程度顔を合わせますが、直属の上司、そしてグローバルチームのメンバーとは、そもそもまだビデオ会議(Zoom)でしか会っていません。よって、Zoomで見える自分が相手に見える自分の像である、という前提で見た目に気を使うようになりました。

奇しくも先日、このようなニュースが一部で話題になっていました。

今の世の中の流れ的にはごく当たり前のように感じますが、化粧品メーカーが、物理的な化粧品ではなくバーチャルな「化粧効果」を提供するというのが、とても面白い、というか、本来はとても奇妙なことのはずなのに、なぜかごく自然な空気になっている。

そう、化粧品はもはやデジタルギアと争う状況になっている。

試しに今年の3月以降の私の個人的な消費データから、美容・ファッション関係で増えたもの・落ち込んだものを見てみましょう。

新たに購入したもの:
・LEDリングライト(いわゆる「女優ライト」
・コンデンサーマイク
・部屋着
・締め付けない下着
・オシャレマスク

買わなくなったもの:
・外出用の服、靴、バッグ
・高価なベースメイク
・ポイントメイク(アイシャドウ、チーク、リップなど)

引き続き買い続けているもの:
・スキンケア
・プチプラなベースメイク
・ポイントメイク(アイブロウ、マスカラ、アイライナー)

この中でも、「女優ライト」の与える影響は絶大で、この照明ひとつと、ビデオ会議ツールのデフォルトとも言えるZoomの補正フィルターさえあれば、ごく薄いメイクでも「それなりなよそいき顔」になってしまうから本当に不思議。

ちなみにトップのアイキャッチ画像はZoomで「女優ライト使用前」「女優ライト使用後」の姿です。はい、全然違いますよね。これだけ違うと、「ライトを使うのはビジネスマナー」的な空気感さえ醸成されそう。もはや必要なのは化粧スキルではなくITスキル、とさえ言えそうです。ちなみに背景は私のお気に入りで、こちらから入手できます。

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バーチャルでの化粧に加えて、ビデオ会議で「自分らしさ」を出すためのアイテムとして重要なのが「バーチャル背景」だと思います。もともとZoom独自の機能でしたが、最近はTeamsも追随してきているようです。

私の会社のグローバルチームのメンバーを見ていると、みんなそれぞれ工夫を凝らし、思い思いのコーディネートを楽しんだり、TPOに合わせて調整しています。たとえばこんな感じ。(実物をお見せできないのが残念!)

・1970年代風のサイケデリックな背景+タイダイのトップス
・アメコミ背景+ロゴT
・ピンクの背景+花柄トップス(ワンピなのかもしれないが、見えない)
・社外向けのミーティングでは、会社のロゴ入り背景+襟付きトップス

「装い」=自分らしさを外見で表現する、と理解するのならば、「ビデオ会議の背景 x ファッション」はリモートワーク時代の新たな装いの形と言えるのではないでしょうか。

というわけで最後に、 #会えない時代になぜ装う に対する私の考えをまとめてみます。

・化粧は自分にとっての「オン」のスイッチ
・「人と物理的に会わない」から「バーチャルで人と会う」へのシフトにより、「ビデオ会議で顔が見えることを前提として装う」が前提になった
・リモートワーク下での化粧スキルはもはやITスキルに近い
「ビデオ会議の背景 x ファッション」はリモートワーク時代の新たな装いの形

バーチャル背景やビデオフィルターは今後ますます進化していきそうですね。それに対して、化粧品業界からはどんなカウンターが来るのか?一消費者として、とてもワクワクしています。

#日経COMEMO #会えない時代になぜ装う


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