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川崎フロンターレ「発達障害のある子のためのサッカー教室」動画公開!

注目された「発達障害のある子の観戦」翌日に実施したこと

昨年2019年7月27日に等々力競技場で行われた「発達障害のある子のためのサッカー観戦(大分トリニータ戦)」はメディアでも大変注目されたため、ご存知の方も多いかと思いますが、7月28日に麻生グラウンドで行われた「サッカー教室」はあまり知られていません。そのサッカー教室の様子がドキュメンタリー映像として公開されましたので、当日の様子と私が感じたことをあわせてご紹介させていただきたいと思います。

カッコ良すぎる「スクールコーチ」

見出しに「カッコ良すぎる」なんて書くのは失礼だと思いつつ、でもその言葉しか思い浮かばないほど、川崎フロンターレのコーチの人たちは本当に素晴らしかった。

初めてのことや初対面の人が苦手な子どもたちに、どうやって心を開いて楽しんでもらえるのか?
子どもたちが初めての時は、私も毎回手に汗を握るほど緊張します。でも、コーチ紹介が終わってドキドキが止まらない私の緊張と不安は一瞬にしてなくなりました。

「つかみはOK」とでも言うのでしょうか? 目の前にいるお子さんの目線に立ち、でも発達障害というラベリングでその子を”見ない”眼差し。その眼差しが一瞬にして子どもたちの心を掴んでしまったんです。

よく私たち大人が失敗してしまうことですが、発達障害のある子は「child with Developmental disorders」と英語で表記されるように、本当は障害うんぬんの前にその子自身を見ることが大切ですが、日本語では「発達障害児」と記載されることからも、どうしても発達障害という先入観が先立ってしまう。そしてそれは見えない壁や距離となって伝わって、そんな大人のラベリングや先入観の眼差しを一瞬にして子どもたちは見抜いて、心を閉ざしてしまう。

でもコーチの方たちは、発達障害があることはどこかで俯瞰しつつ、
この子がどんな思いで自分の前に立っているのか?
どんなことだったらこの子がチャレンジできるだろうか?
そのためにはどんな言葉をかけたらいいのだろうか?

満面の笑顔でいっぱいのコーチたちの眼差しの奥にはそんな思いが感じ取られ、その子にあったやり方でその子のやる気と楽しさと可能性を引き出してくれました。

どこかで、ここにいる子どもたちは全員我が子ぐらいに思っていた私は、安心して我が子たちを任せられました。(えらそうですみません!)そしてその姿があまりにもカッコ良すぎて、心の中で「惚れてまうやろ〜」と叫んでいたのは決して私だけじゃないと思っています(笑)

その存在だからできる癒しと安心の「ふろん太くん」

前日の観戦での送迎やハーフタイムで子どもたちの心をがっしり掴んでいたふろん太くん。後日、何人かのママたちからは、試合観戦も楽しかったけど、ふろん太くんに会えたことが嬉しかったというお子さんたちが多くいたことも聞きました。
そんなふろん太くんがサッカー教室にも来てくれた!

大人だったらわかると思いますが、夏の炎天下で日陰もないグラウンドでふろん太くんが子どもたちと一緒に参加することがどれだけ大変なことか…
でもふろん太くんが、疲れて休んでいる子どもたちに声をかけてくれたり、水分補給を進めてくれたり、見守っているママたちや兄妹に声をかけてくれたおかげで、サッカー教室に癒しと安心が広がった。コーチの方々と同様、その存在があったからサッカー教室に安心して参加できたと言っても過言ではないと感じています。

癒しと安心、ふろん太くんの存在にしかできないことだとその存在に感謝の気持ちでいっぱいになり、そして子どもたちに負けないくらい愛しのビーム視線を送ったことは言うまでもありません。

聞いてなかった前日の試合の「スタメン選手勢揃い」

思わずフロンターレのスタッフの方に「聞いてないよぉ〜」と言ってしまった、私たちプロジェクトメンバーにも知らされていなかったこと。それが、前日の試合のスタメン選手たちが練習後にサッカー教室に参加してくれたこと!

言うまでもありませんが、これほどまでに子どもたちの目が輝いた瞬間はありません。「すげぇー」と喜びを声に出す子もいれば、憧れの存在が目の前にいる現実にびっくりして絶句している子もいる。でも、そんな子どもたちの心をコーチの方々同様、一瞬にして掴んでしまった選手の方々。

もしかしたら失礼な言い方になるかもしれませんが、選手のその姿はまるで子どものようで、目の前にいる子どもたちと同じようにサッカーを楽しみ、その姿からオーラのように発せられている「サッカーってこんなに面白いんだぜ!」の思いが、楽しさと笑顔の連鎖をグラウンド全体に生み出していく。

選手たちとの試合で、「僕はエースストライカー」と言わんばかりにシュートを決める子、選手たちのドリブルに必死で喰らいついて真剣な眼差しでボールを奪おうとする子、これでもかっていうくらいの満面の笑みを浮かべて選手とハイタッチして喜ぶ子。

そんな子どもたちの姿を見て、子どもたちに余計な心配を与えてはいけないと二日間ずっと我慢してきたけど、この時ばかりは溢れる涙を堪え切れず泣いてしまいました。
子どもたちの笑顔がかわいくて素晴らしくて、この笑顔から私自身が多くのことを学ばせていただいたサッカー教室の様子をどうぞご覧ください!

作り笑いじゃないママたちの泣き笑いが教えてくれたもの

動画を見られた方々にどうしても知ってほしいことがあります。この動画に出てくる作り笑いじゃないママたちの泣き笑いの背景にある日常です。

発達障害の言葉は知っていても詳しくは知らないという人が多くいる社会の中で、残念ながらまだまだ偏見や差別は起きています。それは子どもたちだけでなく、親のしつけがなっていないなどママたちにも向けられています。本当は社会に知識と理解さえあれば解決できるのに、あたかも問題は親にあるかのように親子を追い詰め、その理不尽さから親は社会への積極性が乏しくなってしまっている。

そんな過酷な日常を乗り切るために、時に立ち向かうためにママたちがしているのが「作り笑い」です。作り笑いでもしないと生きていけないママたちがいることをどうか、どうか、知ってほしいのです。

サッカー教室で作り笑いじゃないママたちの笑顔を見れたことは、私にとってもすごく嬉しいことでした。でも、泣き笑いや喜びの背景には見えない苦悩があることに改めて気がつかされた瞬間でもありました。だからどうか、子どもはもちろんですが、ママたちも支える社会にしてもらえませんか?

誰だったら、誰の言葉だったら、子どもの心に響くのか?

最後に、このサッカー教室を通して改めて実感したことがあります。それは、子どものやる気や希望や可能性を引き出すために、誰だったら、誰の言葉だったら、子どもの心に響くのか?と言うことです。

残念だけど、私は自身の子育てでも痛いほど実感していますが親の言葉じゃ響かないことなんてたくさんあるんですよね。悔しいくらいに、他の誰かとまったく同じこと(どんな正論も)を言ってもまったく響かない。
じゃ、誰の声だったら子どもたちの心に響くのか?

それは今回のサッカー教室のコーチや選手のような、その子の憧れや尊敬の存在です。そしてそれは、その憧れや尊敬の人にしか果たせない役割

子どもたちのやる気と希望と可能性を引き出してくれたコーチと選手の方々に、改めて、この場を借りて深く、深く御礼申し上げます。

★2日間の取り組みが「2020Jリーグシャレン!アウォーズ・Jリーグチェアマン特別賞『発達障がい児向けサッカー×ユニバーサルツーリズム/川崎フロンターレ』活動レポート」でも紹介されています。
こちらもぜひ、ご覧ください!


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