議論の余地しかない/森博嗣
S&M、Vシリーズなど、これまでの作品から抜き取った珠玉の言葉たち。
引用元のタイトルを見ただけでしびれる。
そんな人向けのフォトエッセィ。
動機なんてさして重要ではない、と発言したのは犀川先生だっただろうか。
被害者が、世間が、納得するためだけに必要なのだと。
ミステリィばかり読んでいた当時の私は少なからずショックを受けた。
納得できる理由があれば、安心するのか?
多様性に対応したトイレ問題を思い浮かべる。
何が問題かわかっていないから、やることなすこと炎上する。
当時はこれほどリアルに落とし込めていなかったが、令和になって「ほんとソレ」となるの感服致す。
煩わしいから、つまりは、面倒くさいから。
どちらかに重心を傾けたほうが、考えるのが簡単になる。
最近気をつけているのは、考えるのをあきらめないこと。
シンプル、断捨離、機能美、などというワードに惹かれる性分。
削ぎ落とした美しさには品がある。
本作から今響く文章を"一つだけ"引用しようと、厳選に厳選を重ねたはずなのに、まぁこの通りである。
議論の余地しかない。