難問

ダラダラしたくなるときって、ないですか?
でも、そうカンタンにはできないんです。

まず、家ではなかなか難しい。

妻が洗濯物をたたんでいる。
娘が試験勉強をしている。
息子が宿題をしている。

ここでダラダラは無理だな。
一歩間違えば、居場所をなくしかねない。
キケンだ。

ある平日、私は休みを取った。
週末、仕事が入ったためだ。
よし、チャンス到来!

誰もいない家で、ひとりダラダラってのも悪くないが…
それじゃなんかつまんない。
思いきって、ダラダラの冒険に出かけることにした。

電車にゆられて…

行きついたのは、昼間っから飲める店が軒を連ねる街。
けっして危ない場所ではないが、上品なトコでもない。
まあ、ガサツな感じだ。

その中の一軒に入ってみた。
まだ真っ昼間なのに、「生中、ひとつ」。
ダラダラしに来たのに、なんかドキドキする。

まわりは、なんか雰囲気のある人ばっかりだ。

あの地味~なおじさんは、定年退職してヒマなんだろうなぁ。
あの派手~なおばさんは、「スナック順子」のママなんだろうなぁ。
あのガタイのイイにーちゃんは、たぶんワークマンの常連なんだろうなぁ。
あのケバそ~なネーさんは、意外にもウーロン茶で最後まで通すんだろうなぁ。
あのフツーそうな青年は、何かしくじったんだろうなぁ。

けっしてふれ合わない人に囲まれてダラダラしてみた…けど…。

妄想は楽しんだけど…、あんまり落ち着かなかったなぁ。

ホントにダラダラできてたのかぁ?

そもそもダラダラってナニ?

えーっ、ちょっと、これからどうやってダラダラしていいかわかんなくなってきた。

やっぱ、ダラダラって家じゃなくても難しいわ。


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