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【山と共存する暮らしのデザイン】武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第1回レポート_林業アーティスト 足立成亮 建築家 陣内 雄さん

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論の授業のレポートをまとめました。

当授業のレポートは毎週noteで提出します。私の大学時代にはなかった新しい体験ですし、新鋭のフォーマットを積極的に取り入れている姿勢が当大学院らしさを感じていてこれからの学びが一層楽しみです。

今回は第一回(4月12日(月))の授業のレポートです。林業アーティストの足立成亮さんと林業建築家 陣内 雄さんにご講演いただきました。

講演者プロフィール

林業アーティスト 足立成亮さん
林業建築家 陣内 雄さん

活動の紹介

outwoods(アウトウッズ)という団体を創設し、「主流」の林業とは異なる「自分たち」の林業を通じて山をデザインし、山と人を繋いでいらっしゃいます。

林業の枠にとらわれない、「山と共存する暮らしのデザイン」という印象を受けました。

林業の厳しさや孤独を感じたお二人の活動「outwoods」の動画では、厳しさや孤独ではなく優しさや暖かさが感じられます。お二人が表現している山と人の繋がり方だと思い、映像と音楽の美しさにはっとします。

まず活動を始める時点で、山でできる事の理想を絵に描き、関係者に見せて回られたとの事でした。最初の数年は稼ぐ事が難しい日々が続いたという厳しかった状況も伺いました。それから絵に描いた「絵空事」をしっかり現実的に落とす事を着実に進められてきていて、その活動は多岐に渡ります。

「ずーーっと、やってける林業」を目指した活動

家づくり:
陣内さんはご自身の家を木材・粘土・土壁をご自身で調達して建てました。キッチンのシンクも木でつくり、暖房は薪ストーブ、トイレはおがくずで分解する方式として「主流」の建築方法ではなく素材を活かした家づくりを実践されました。

地元を巻き込んだ活動:
地元の木材を活かし、地元のパン屋さんの建物には藁の断熱、地元の素材のみを利用し、薪でパンを焼いています。
また大丸札幌にて、インスタレーション等を通じてお二人の活動を伝え、森の空間を身近に感じる事ができるような企画展を開催されました。

「ずーーっと、やってける林業」をする上でのビジネスの展開:
木を原料に使ったナチュラルコスメを販売し、薪ストーブの販売も行っています。

「泥臭い」森林作業道づくり:
農道、私道、林道等がある中でも、最も厳しくて「泥臭い」森林作業道を作っています。「その道は人の能力を山に持ち込むためのツールであり、人間と森林のベストパフォーマンスを助ける装置だ」という捉え方によって森林作業道を美しくデザインされています。

感じたこと

お二人の活動は心の中にある想いや課題感を、アートやデザインやビジネスを掛け合わせて表現したものであり、経済合理性もふまえたアーティストだと感じました。
その表現活動を通じて生み出した作品によって、普段の生活から遠い「山」や「林業」を身近に感じる事ができます。

様々な生活様式や価値観によって分断の生じる世界になりつつある状況において、それぞれの生活から遠いものを近くに感じる、分かりやすい言語が必要で、それがアートやデザイン等によって生み出される表現なのだろうと思いました。

また、これまでになかった新しい表現を社会に生み出すためには仲間が重要で、お二人が「泥臭い」環境の中で自然と仲間を引き寄せながら、孤独を乗り越えて機会を作っていらっしゃる姿がとても印象に残りました。個人の強い動機や課題感を軸に、そこに自然と仲間がついて来るというのが新しい表現を生み出すために重要な要素だろうと感じました。

トップ画像の引用元:bertvthulによるPixabayからの画像




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