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革靴に擬態したスニーカーを履く

 外回りというわけではないが、仕事の現場が複数箇所にわたり、移動が多いので、靴は私にとってとても重要なものだ。
 そうでなくても私は靴が好きだ。とりわけスニーカーが好き。若い頃はスニーカー好きが高じて雑誌でライターをやっていた時期もあった。が、それはまた別の話。

 比較的ちゃんとした格好をしなければならない職業なので、オンタイムにスニーカーをはくことはできない。40代の頃まではオールデンの靴をいくつも揃え、バチバチ底を張り替えていた。足に馴染むとえもいわれぬ履き心地を醸す。最近長男が野球のクローブを育てているのだが、エイジングというのは人を惹きつけるなにかがあるのかもしれない。

 また話が逸れていったぞ。
 転機はコロナ禍だったか。オンライン仕事の導入とともに外出機会も減り、外に出ればレコードをアホほど買うようになったため、リュックでの外出が増えた。それに伴い、スーツ類もちゃんとしたもの(だいたいポール・スミスのものだ)から、リュックを背負ってもいいもの、家で洗えるものへと移行した。その少し前に引っ越し、リペア屋さんが若干遠くなったため、靴もメンテが楽なものへと移行していった。
 そこでチョイスしたのが、現在履いている「革靴に擬態しているスニーカー」である。履いてまず思ったのが「めっちゃ楽」であった。当たり前といえば当たり前だが、スニーカーなので、どんなに工夫を凝らした革靴も、長距離歩くことに関しては勝負にならない。単価も安く、オールデン1足分で10足くらいは買える。ソール交換はできないので使い捨ての形になるが、足に馴染むのを待つ期間も圧倒的に短い(なんならないと言っても過言ではない)ので、これがメインの仕事靴になるのは時間がかからなかった。

 上述の通り、同様にスーツ類も安いものへと移行した。確かに仕立ては甘い。しかし、ぱっと見のフォルムはそれほど悪くない。また扱いが楽な上に、買い替えも苦ではないので、ピンとした状態を保つのが難しくない。そういう意味では、こだわりの逸品を使い続けるよりも清潔感を保ちやすく、仕事の面ではメリットも大きい。なので、最近は安いスーツに安い靴が多い。

 最近、長男の卒業式と入学式、亡父の十三回忌と冠婚葬祭のたぐいが続いたので、久々にポールのスーツを着た。質のいいテキスタイルのスーツを着ると気分が上がるので、モチベーションの維持という意味では圧倒的にこちらの方がいい。ゼニヤの布地に触っているだけでテンションは上がります(変態)。

 ただ、普段使いとしては扱いやすいものの方が機動力が高いので、おそらく退職するまで現在のスタイルを続けるだろう。子らにかけるお金も増えるし。

 またずれた話を元に戻す。
 革靴に擬態したスニーカーは素晴らしいのだけど、難点がひとつある。息の長い製品が少ないのだ。直近で使っていたモデルが足に合うので、リピートを検討していたのだが、最近見たらすでに終売となっていた。在庫ももはや黒はなし。やれやれということでバーガンディの同モデルを購入。次回の購入時は、新しいモデルを物色しなければならない。

 これからメンテごとにバーガンディのクリームを塗って、さらに赤っぽくするつもりだ。結局エイジングだね。スニーカーなのに。

ちなみに今回の製品はこちらになります。
https://amzn.to/4cOnQbz

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