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心筋梗塞からの生還③

超絶技巧医療チームによるカテーテル処置のストーリーはこちら

心筋梗塞と診断されてから2時間で処置が終わり、ICUの人となった。ICUとはいわゆる集中治療室なのだが、これもイメージとだいぶ違った。ICUを一言でいうと、ドアの無い個室といったところか。ベッドは一般病棟と同じもの。ただここに入るとすぐに体中にコードやらチューブやらが付けられる。

コードはもっぱら身体の状態をモニターする機器に接続される。医療ドラマの場合、ベッドサイドでピッ、ピッと音を出して波形やら数字などが出ているのが心電図。指先には血中酸素濃度の測定器が常時挟まれる。チューブは鼻に酸素チューブ、左腕には点滴と採血検査がいつでもできるように注射針が常設された。カテーテル処置の直後は数時間おきの採血検査が必要で、その都度針を刺されるより痛くないし、合理的だ。右腕はチューブは無いが、カテーテル処置の後の動脈を止血するため固く圧迫されている。

ERから処置室まではドクターが主役だが、ICUを含めた病室に移ると主役はナースに移る。ICUでは患者一人にひとりのナースが付いているようだ。日勤(9時から16時)と夜勤(16時から翌9時)のシフトを敷いている。交代の前後1時間は入念な引継ぎにあてられているので、実質日勤9時間、夜勤13時間の激務だ。処置当日は完全な「絶対安静」を命じられているため、ベッドの角度を変える(電動スイッチを押すだけ)ことですらナースに頼んでやってもらう。自分で自由にできることは寝返りぐらいだ。

しばらくしてドクターの回診。これは医療ドラマとだいぶイメージが違い、処置を担当したドクターと循環器内科のドクター合計3名で回る。ドクターの説明によると、ステント処置は成功。2週間入院、そののち2週間の自宅療養を告げられた。心筋梗塞があまり広範囲に影響しないうちにステント処置できたので順調に回復できそうという事だった。

初日は気の疲れと手術疲れか一日ウトウト。ただ数時間おきに血圧体温測定と止血を緩めてくれるので、なかなか時間が経たない。退屈もあるが、同じ体勢でいるので腰が痛くなってくる。2週間か。長いな。

コロナ蔓延が今回の入院生活を退屈で不安なものとしたのだが、それについては次回記事で。

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