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心筋梗塞からの生還②

発症からERまでのストーリーはこちら

10:00 大勢の医療スタッフの手で救急車のストレッチャーからER(救急救命室)の処置台へ医療ドラマさながらに「1、2、3」の掛け声と共に移された。血圧、血中酸素濃度、心電図測定などが3分も経たないうちに行われた。驚いたのはX線検査の機械までが処置台までやってきた事だ。手術を伴うER入りは23歳の虫垂炎以来だが、あの時はあちらこちらの検査室に車いすで移動したことを思えば医療の進歩に目を見張るばかりだ。

10:10 カテーテル処置のための手術を行うことに決定。同意のサインをするなりストレッチャーに移され、カテーテル処置室に移動。相変わらずの展開の速さに手術に対する恐怖を感じる暇さえ無い。ドクターの説明はうろ覚えの知識通り手首からカテーテルという細い管を動脈に入れ(怖!)、心臓冠動脈に造影剤を入れて検査し、血栓を取ってステントと呼ばれる網状のパイプを入れ、血管の詰まりを解消するというもの。動脈なんて破れたら一発で失血死することはわかっているので大変恐ろしいはずなのだが、どうも実感がわかない。人ごとのようだ。

10:15 カテーテル手術開始。虫垂炎の時は全身麻酔だったので何も記憶がないが、カテーテルは手首への局所麻酔だけ。ドクターは「動脈は神経無いから痛く無いですよ」と、にわかに信じられない事を言う。自分の心臓が脈動し、冠状動脈に何か突っ込まれている動画(モノクロでよかった)が映るモニターを横目で眺めながら処置を受ける。痛いことは全く無いのだが、夜中から続く胸の重苦しさはなかなか取れない。また時々注入される薬液で急に体がヒヤッとしたり、熱くなったりするのが不思議な感覚だ。

10:35 あっというまにステント設置完了。心臓に金網を入れられた実感はやはり無い。動脈の止血はちょっと緊張したが問題なく処置完了。再び医療ドラマ「1、2、3」でストレッチャーに移され、同じ階にあるICUに移動。ここでようやく妻に会えた。この時点で10:55。心筋梗塞と診断されてから2時間も経っていない。信じられない。

この素早い処置が今後の入院生活を左右したのだが、それについては次回記事で。

注)カテーテル処置とステント留置についてはこちらのサイトが詳しいです。

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