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心筋梗塞からの生還④

ICU初日の様子はこちら

2020年は世界にとって特別な年となった。COVID-19感染拡大により世の中は一変したが、それは医療現場にとっても同様だ。入院した病院はコロナ患者の受け入れをしていなかったが、それだけに感染予防対策は徹底していた。入院患者への見舞い・面会は家族であっても禁止となっていた。入退院の手続きのために短時間付き添うことは可能だが、それ以外はロビーでの面会すらできない。これはさすがに不安だ。身の回り品の差し入れは家族が1Fのインフォメーションに預け、ナースが届ける。10日間も家族すら会えないのにコロナ蔓延の恐ろしさを再認識させられた。

ICU初日の夜は長かった。9時に消灯だが、数時間おきに目が覚める。大概は腰の痛み。唯一許される自由な動きの寝返りをしてもおさまらない。ナースを呼んでベッド角度を変えてみても15分もするときつくなってくる。ICUではどうやら1人のナースが2部屋(2名)くらいの患者を担当しているようだ。機械がアラーム音を出すとすぐに飛んでくるのはありがたい。

5/12 入院2日目。ドクターの回診。この病院は循環器内科3人のドクターがチームを組んでいる。執刀を担当してくれたパワフルな女性医師、髪を後ろで束ね、スタイリッシュなジャケットを着たLEONに出てきそそうな男性医師、落語家のような柔和さをにじませる男性医師が一緒に回診する。上下関係はきっとあるのだろうが、それを感じさせない雰囲気がある。傍目から見てもいいチームに見えた。回診の結果、順調な回復をしているとのことで昼からは食事が出ることになった。腰の痛みに加え空腹も耐え難いものとなっていたので嬉しい。

昼食は予想に反していたって普通。ご飯は少し柔らかめだが普通の白米。しかも量が多い。味は予想よりしっかりとしていた。また本来はICUではベッドの角度はナースしか変えてはいけないらしいが、回復が順調なので自分で変えることを許可してくれた。ありがたい。

この日のもう一つの嬉しいことはカテーテルを入れた右手首動脈の止血が終了。少しごつい絆創膏に変わった。止血の痛みから解放され、ベッド角度自由化も与えられた2日目の夜だったが、寝たままの姿勢では腰の痛みからは解放されず、結局2日目もよく眠れない。夜中に隣の部屋からアラームが聞こえてきた。いつもの不具合かな、と思っていたら「急変!急変!」とナースが叫ぶ声。大勢の医療スタッフが廊下を走る音が聞こえる。すぐに落ち着いて事なきを得たようだが、改めて救急病院のICUにいて、自分もいつ急変するかもしれない状況に改めて気が引き締まると同時に恐怖を感じた。

5/13 3日目。朝の回診を受けて一般病棟への移動を許可された。動けないのは変わらないので嬉しさより不安が大きった。2人部屋はアメリカでの虫垂炎手術で経験があるので、それなら4人部屋も一緒と思い4人部屋を選んだのだが。3階のICUから6階の一般病棟へストレッチャーで移動。廊下側の空いたベッドがこれからしばらくの住まいだ。

意外と快適な一般病棟での生活は食事やライフスタイルについて深く考える機会となった。これについてはまた次回に。

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